媚中に良心なしー産経読者を欺く千玄室のコラム「一服どうぞ」
2014/05/18/Sun
産経新聞の一面にしばしば掲載される裏千家前家元・千玄室氏のコラム「一服どうぞ」。五月十八日のテーマは「欲が生む国家の行き違い」。

まずは次のような深い蘊蓄で読者を唸らせる。
―――わが国では神道から仏教、そして儒教が入り三教の関係が古くから論ぜられてきた。禅宗に朱子学が受け入れられたのは禅そのものが実践行を趣旨としており、「無」を最高の思想としたからである。
―――よく無心、無我、無意などの言葉で欲のないことを示すが、もともと人間は欲の塊である。自分本位でものを見て批判したり、決めてしまったりするが、実はこれが凝り固まると意地みたいなものになる。何か信念ができたような気持ちになって、行動を他人からあれこれ指摘されると立場を無視されたと怒る。
―――国家間の問題でもそうした点での行き違いが多い。
そしてその上で、次のように中国の反日姿勢を批判するのだ。
―――今日本に対し隣国からの根深い蔑視がある。歴史認識の違いなどといわれる。ことごとく反日というところへ解決をもっていこうとしている。国と国との間では礼に始まり礼に終わることによって平和という安らぎがもたらされるのに、こうした悲しい状態は如何(いかが)なものだろうか。日本のなすことやることすべて憎しとなると、もつれた糸をほぐすより困難なことである。
また次の如く習近平への批判も。
―――中国は歴史が古く、数えきれない程の聖人、学者、政治家、軍師などの話が残っており、今もその教訓が生きている。中国の現在の為政者はそれらの教訓を学んでいるのだろうか。学んでいるなら伝え諭される良知を生かしてもらいたいと思う。日本人でも論語や禅宗の教えを学び、それを己の生活に生かそうとしているのだから。
ちなみにその「良知」に関し、このようにも解説している。
―――先に述べた朱子学から王陽明(1472~1529年)の陽明学が生まれた。王陽明は「致良知」を教えた。すべての人間は己の良心を知ることにより、心構えをつくらねばならない。そして生きていく以上、他との折り合いを思わなければならない。そのために少しでも正しい認知の上に立っての行動をというのである。
ここまで読めば「実に立派な内容のコラムだ。さすがは裏千家前家元だけのことはある」と感心する者も少なくあるまい。ところが問題は、その最後のくだりなのである。上記の習金平批判に続け、次のように書いて稿を閉じているのだ。
―――お互いに譲歩し合って、平和で豊かな生活ができるようにしたいものである。
「お互いに譲歩し合う」とはどういうことか。つまり日本政府に対しても、今日の日中関係悪化の原因となっている尖閣諸島問題及び靖国神社問題等々でおいて、「他との折り合いを思わなければならない。そのために少しでも正しい認知の上に立っての行動を」と、千元室氏は訴えているのだ。
これは「媚中保守」の識者が好んで使う典型的な論法で、これまで「一服どうぞ」でも、何度も用いられてきた。
中国に籠絡され、中国の意向に従って日中関係の改善(日本の譲歩による中国に有利な形での)を訴えたいが、しかし自身は「保守」派の立場にあり、保守派世論から「媚中」と非難され、信頼が失墜してはたまらない。そこでそれを回避するため、まずは表面的な中国批判を繰り返す。そして最後に日中喧嘩両成敗とばかりに日本側を叱って見せる。こういうやり方である。
このような書き方に、中国側は満足だろう。反中的傾向の強い保守派層(産経読者)がこれを読み、「日本側にも非があるのだ」との印象を持てば万万歳といったところに違いない。千元室氏はあの国が推進する保守派層の取込みと、それによる世論の分断という対日謀略にすっかり歩調を合わせてしまっているのである。
中共上海市委員会統一戦線工作部のホームページは今年三月の千玄室氏の上海訪問を報じた際、同氏をこう紹介している。
「九十二歳の千玄室大宗匠は一生をかけ、茶文化での中日友好促進に力を致してきた。これまで百回以上も中国を訪問し、鄧小平、李先念、江沢民、呉邦国、温家宝など国家指導者会見している」
ここまであの国では持ち上げられる人物なのだ。つまりそれほど中国には利用しやすい「友好人士」であるわけだ。千玄室氏も中国から「欲の塊」であるのが見抜かれ、いいように取込まれてしまった類なのかもしれない。

中共中央政治局常委・李長春と握手する千玄室氏。思想統制の残虐な最高
責任者とも笑顔で握手する千氏に良心はあるのか
「お互いに譲歩し合って、平和で豊かな生活ができるように」と日本政府に訴えた千玄室氏。尖閣問題で「領土問題の存在を認めよ」「争議を棚上げし、共同開発に応じよ」と要求したいのだろう。靖国問題に関しても「首相、閣僚は参拝するな」と求めたいらしい。日本が中国に「譲歩」するとはそういうことだ。
そして尖閣問題で「譲歩」して得られる「平和で豊かな生活」とは「中国支配下の平和」と言う以外に考えられない。
「すべての人間は己の良心を知ることにより、心構えをつくらねばならない」と説いて見せる千玄室氏だが、自分自身にそれができるのか。中国に取込まれるというのは良心、良識を放棄するのと同義なのである。だからこそ、このような読者を欺く一文を書けるのだ。
産経新聞は紙面において、このような善悪の判断もつかないような人物に「致良知」などを語らせ、読者を惑わせるのは止めた方がいい。
【過去の関連記事】
産経の裏千家前家元コラムに見る媚中派日本人の典型 08/07/11
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-432.html
千玄室氏は「平和の心」で「日中交流ボイコット」を 10/06/15/
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1199.html
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まずは次のような深い蘊蓄で読者を唸らせる。
―――わが国では神道から仏教、そして儒教が入り三教の関係が古くから論ぜられてきた。禅宗に朱子学が受け入れられたのは禅そのものが実践行を趣旨としており、「無」を最高の思想としたからである。
―――よく無心、無我、無意などの言葉で欲のないことを示すが、もともと人間は欲の塊である。自分本位でものを見て批判したり、決めてしまったりするが、実はこれが凝り固まると意地みたいなものになる。何か信念ができたような気持ちになって、行動を他人からあれこれ指摘されると立場を無視されたと怒る。
―――国家間の問題でもそうした点での行き違いが多い。
そしてその上で、次のように中国の反日姿勢を批判するのだ。
―――今日本に対し隣国からの根深い蔑視がある。歴史認識の違いなどといわれる。ことごとく反日というところへ解決をもっていこうとしている。国と国との間では礼に始まり礼に終わることによって平和という安らぎがもたらされるのに、こうした悲しい状態は如何(いかが)なものだろうか。日本のなすことやることすべて憎しとなると、もつれた糸をほぐすより困難なことである。
また次の如く習近平への批判も。
―――中国は歴史が古く、数えきれない程の聖人、学者、政治家、軍師などの話が残っており、今もその教訓が生きている。中国の現在の為政者はそれらの教訓を学んでいるのだろうか。学んでいるなら伝え諭される良知を生かしてもらいたいと思う。日本人でも論語や禅宗の教えを学び、それを己の生活に生かそうとしているのだから。
ちなみにその「良知」に関し、このようにも解説している。
―――先に述べた朱子学から王陽明(1472~1529年)の陽明学が生まれた。王陽明は「致良知」を教えた。すべての人間は己の良心を知ることにより、心構えをつくらねばならない。そして生きていく以上、他との折り合いを思わなければならない。そのために少しでも正しい認知の上に立っての行動をというのである。
ここまで読めば「実に立派な内容のコラムだ。さすがは裏千家前家元だけのことはある」と感心する者も少なくあるまい。ところが問題は、その最後のくだりなのである。上記の習金平批判に続け、次のように書いて稿を閉じているのだ。
―――お互いに譲歩し合って、平和で豊かな生活ができるようにしたいものである。
「お互いに譲歩し合う」とはどういうことか。つまり日本政府に対しても、今日の日中関係悪化の原因となっている尖閣諸島問題及び靖国神社問題等々でおいて、「他との折り合いを思わなければならない。そのために少しでも正しい認知の上に立っての行動を」と、千元室氏は訴えているのだ。
これは「媚中保守」の識者が好んで使う典型的な論法で、これまで「一服どうぞ」でも、何度も用いられてきた。
中国に籠絡され、中国の意向に従って日中関係の改善(日本の譲歩による中国に有利な形での)を訴えたいが、しかし自身は「保守」派の立場にあり、保守派世論から「媚中」と非難され、信頼が失墜してはたまらない。そこでそれを回避するため、まずは表面的な中国批判を繰り返す。そして最後に日中喧嘩両成敗とばかりに日本側を叱って見せる。こういうやり方である。
このような書き方に、中国側は満足だろう。反中的傾向の強い保守派層(産経読者)がこれを読み、「日本側にも非があるのだ」との印象を持てば万万歳といったところに違いない。千元室氏はあの国が推進する保守派層の取込みと、それによる世論の分断という対日謀略にすっかり歩調を合わせてしまっているのである。
中共上海市委員会統一戦線工作部のホームページは今年三月の千玄室氏の上海訪問を報じた際、同氏をこう紹介している。
「九十二歳の千玄室大宗匠は一生をかけ、茶文化での中日友好促進に力を致してきた。これまで百回以上も中国を訪問し、鄧小平、李先念、江沢民、呉邦国、温家宝など国家指導者会見している」
ここまであの国では持ち上げられる人物なのだ。つまりそれほど中国には利用しやすい「友好人士」であるわけだ。千玄室氏も中国から「欲の塊」であるのが見抜かれ、いいように取込まれてしまった類なのかもしれない。

中共中央政治局常委・李長春と握手する千玄室氏。思想統制の残虐な最高
責任者とも笑顔で握手する千氏に良心はあるのか
「お互いに譲歩し合って、平和で豊かな生活ができるように」と日本政府に訴えた千玄室氏。尖閣問題で「領土問題の存在を認めよ」「争議を棚上げし、共同開発に応じよ」と要求したいのだろう。靖国問題に関しても「首相、閣僚は参拝するな」と求めたいらしい。日本が中国に「譲歩」するとはそういうことだ。
そして尖閣問題で「譲歩」して得られる「平和で豊かな生活」とは「中国支配下の平和」と言う以外に考えられない。
「すべての人間は己の良心を知ることにより、心構えをつくらねばならない」と説いて見せる千玄室氏だが、自分自身にそれができるのか。中国に取込まれるというのは良心、良識を放棄するのと同義なのである。だからこそ、このような読者を欺く一文を書けるのだ。
産経新聞は紙面において、このような善悪の判断もつかないような人物に「致良知」などを語らせ、読者を惑わせるのは止めた方がいい。
【過去の関連記事】
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http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-432.html
千玄室氏は「平和の心」で「日中交流ボイコット」を 10/06/15/
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1199.html
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