中国による沖縄の日本帰属否定のプロパガンダは稚拙だが危険
2013/05/06/Mon
中国外交部傘下の国際情報誌「世界知識」(三月十六日号)が掲載した「牡丹社事件と日本の琉球国併呑」が「日中関係専門家の間で波紋を呼んでいる」と時事通信が四月三十日に報じた。なぜなら「外務省系誌に沖縄の日本帰属を否定する論文が掲載されるのは異例」だからだという。
筆者は雷玉虹という上海復旦大学の国際関係・公共事務学院博士課程の学生。誤りだらけの内容だ。

沖縄の日本帰属を否定する論文。誤りだらけの内容だ
ちなみに時事によると、牡丹社事件とは「宮古島住民の乗った船が台風で台湾南部に漂流し、54人が先住民に殺害された事件。これを契機に明治政府は1874年、台湾出兵に踏み切り、79年に廃藩置県で沖縄県が設置された」というものなのだが、論文は次のように書く。
――― 一八七四年の、日本が台湾に対して出兵、侵略を行った牡丹社事件は、近代における中日関係の起点であり、その後発生する琉球国併呑は日本のアジア侵略の嚆矢だ。
―――日本は今日に至るまで沖縄に関する合法的主権を擁したことはない。
―――歴史上日本が侵略の野心を抱いた琉球群島は西太平洋上に位置し、中国の台湾島と日本列島との間に介在している。
―――歴史上の琉球国は、明清時代の五百年以上にわたり、中国と宗藩関係を維持した。宗主国に安全上の保護を求めることが、琉球には重要なことだった。
―――明治維新前、薩摩藩は琉球を「大唐の土」として扱ったが、維新後の日本は琉球と台湾を併呑しようとした。そして一八七四年、台湾の原住民が琉球居民を殺害する牡丹社事件が起こったが、それは琉球併呑のための口実だった。
ここで書かれる「宗藩関係」とは、宗主国と属国の関係のことだ。たしかに琉球国は明、清の属国だったが、しかしそれと同時に日本(薩摩藩)にも隷属していた。だから同藩が琉球を「大唐の土」(中国の版図)と見ていたと言うのは誤りだ。
――― 一九七一年、米国は「沖縄移交協定」で、米国が日本に移交するのは治権であって主権ではないと声明している。そのため日本は琉球に対し、合法的主権は持っていないのだ。
「沖縄移交協定」とは「沖縄返還協定」のことだが、中国人はしばしば「返還」と言わず、わざと「移交」(引き渡す)という言葉を使い、米国は「治権」(統治権)を引き渡しただけで主権は返還していないと主張する。
しかし「統治権」はそれ自体が「主権」を意味するから、きっと「施政権」(信託統治下での三権行使の権限)と言いたいのだろう。
だが実際には日本は、米国施政下でも沖縄に関する主権を持っていたのだから、中国人の主張は間違っている。だいたい沖縄返還協定に「日本に移交するのは治権であって主権ではない」などと、どこにも書いていない。
したがって「そのため日本は琉球に対し、合法的主権は持っていない」とのこの論文の主張は、最初から破綻している。
もっとも、このような作り話は雷玉虹なる一学生だけのものではない。
たとえば時事は「中国で、沖縄に日本の主権が及ぶことを否定する論調は昨年9月の国有化直後にも見られ、反日論調で知られる共産党系機関紙・人民日報系の環球時報は『日本は武力で併合した沖縄列島は放棄しなければならない』(同月12日付)などという論評を掲げていた」と伝える。
そこで、その環球時報の論評を見てみよう。沖縄大学教授である劉剛が書いた「沖縄の帰属先は未定・日本は我が物顔をするな」がそれだが、ここでもこんなことが。
―――歴史、文化的に見て、沖縄と中国は非常に深い繋がりがある。沖縄島人は中国南方人に近い。琉球方言は明らかに福建方言の影響を受けている。琉球人は豚肉が好きだが、日本人の主流は豚肉を食べない。琉球人の官服、官帽は明朝を真似たものだった。
随分インチキな解説だ。官服云々は別としても、人種的、言語的に見れば沖縄の人々は、「中国南方人」ではなく日本人と同じだからだ。
―――戦後、沖縄の帰属先については一貫して議論がある。一九四五年の日本の敗戦により、カイロ宣言、ポツダム宣言に基づき、日本は本土四島しか領有できず、武力で併呑した沖縄列島は放棄しなければならなくなった。
これも間違い。日本の敗戦後の領土範囲はサンフランシスコ講和条約によって最終決定されたのであって、カイロ宣言、ポツダム宣言に如何なる戦後処理方針が書かれていようと、すべては無に帰したのである(そもそもそれらに沖縄放棄の規定はない)。
――― 一九五一年のサンフランシスコ講和条約は中国の同意もないままに、沖縄を米国の信託統治下に置き、さらに一九七一年には米国は沖縄の信託統治権を密かに日本へ渡してしまった。しかし日本に対しては沖縄列島の行政、立法、司法権を引き渡しただけで、日本へ沖縄の主権を渡したわけではない。
―――このように日本の沖縄の占有は、国際法的根拠のないものなのだ。
やはり劉剛も雷玉虹と同じような事実捏造を行っている。おそらくこれが中国官製の論理なのだろう。
もっともあまりに稚拙な作り話なので、さすがに中国政府自らはこうした論法はとっていない。だがいずれ東支那海を制覇し、沖縄に大きな影響力を及ぼす段階に至ったなら、沖縄の日本本土からの切り離し工作を正当化するため、こうしたプロパガンダを国際社会に向けて実行するのだろう。
日本人だって、意外と簡単に信じてしまうのではないか。
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平成25年5月12日(日) 13時00分 (12時30分開場)
13時00分 支部大会(どなたも参加可能)
14時00分 講演会・シンポジウム
17時00分 懇親会
場所 群馬会館 ホール
http://www.pref.gunma.jp/01/a2710017.html
内容
《基調講演》三輪和雄
《シンポジウム》赤池誠章、小坂英二、永山英樹 / 三輪和雄(進行役)
参加費 1,000円
懇親会 会費 3,500円 / 定員 50名
主催 頑張れ日本!全国行動委員会 群馬県支部
http://nippon.daa.jp/
御予約 専用メールフォーム https://daa-nippon.ssl-lolipop.jp/yoyaku.html
お問合せ TEL 080-6686-2352(寺林) TEL 090-4701-6511(松本)
筆者は雷玉虹という上海復旦大学の国際関係・公共事務学院博士課程の学生。誤りだらけの内容だ。

沖縄の日本帰属を否定する論文。誤りだらけの内容だ
ちなみに時事によると、牡丹社事件とは「宮古島住民の乗った船が台風で台湾南部に漂流し、54人が先住民に殺害された事件。これを契機に明治政府は1874年、台湾出兵に踏み切り、79年に廃藩置県で沖縄県が設置された」というものなのだが、論文は次のように書く。
――― 一八七四年の、日本が台湾に対して出兵、侵略を行った牡丹社事件は、近代における中日関係の起点であり、その後発生する琉球国併呑は日本のアジア侵略の嚆矢だ。
―――日本は今日に至るまで沖縄に関する合法的主権を擁したことはない。
―――歴史上日本が侵略の野心を抱いた琉球群島は西太平洋上に位置し、中国の台湾島と日本列島との間に介在している。
―――歴史上の琉球国は、明清時代の五百年以上にわたり、中国と宗藩関係を維持した。宗主国に安全上の保護を求めることが、琉球には重要なことだった。
―――明治維新前、薩摩藩は琉球を「大唐の土」として扱ったが、維新後の日本は琉球と台湾を併呑しようとした。そして一八七四年、台湾の原住民が琉球居民を殺害する牡丹社事件が起こったが、それは琉球併呑のための口実だった。
ここで書かれる「宗藩関係」とは、宗主国と属国の関係のことだ。たしかに琉球国は明、清の属国だったが、しかしそれと同時に日本(薩摩藩)にも隷属していた。だから同藩が琉球を「大唐の土」(中国の版図)と見ていたと言うのは誤りだ。
――― 一九七一年、米国は「沖縄移交協定」で、米国が日本に移交するのは治権であって主権ではないと声明している。そのため日本は琉球に対し、合法的主権は持っていないのだ。
「沖縄移交協定」とは「沖縄返還協定」のことだが、中国人はしばしば「返還」と言わず、わざと「移交」(引き渡す)という言葉を使い、米国は「治権」(統治権)を引き渡しただけで主権は返還していないと主張する。
しかし「統治権」はそれ自体が「主権」を意味するから、きっと「施政権」(信託統治下での三権行使の権限)と言いたいのだろう。
だが実際には日本は、米国施政下でも沖縄に関する主権を持っていたのだから、中国人の主張は間違っている。だいたい沖縄返還協定に「日本に移交するのは治権であって主権ではない」などと、どこにも書いていない。
したがって「そのため日本は琉球に対し、合法的主権は持っていない」とのこの論文の主張は、最初から破綻している。
もっとも、このような作り話は雷玉虹なる一学生だけのものではない。
たとえば時事は「中国で、沖縄に日本の主権が及ぶことを否定する論調は昨年9月の国有化直後にも見られ、反日論調で知られる共産党系機関紙・人民日報系の環球時報は『日本は武力で併合した沖縄列島は放棄しなければならない』(同月12日付)などという論評を掲げていた」と伝える。
そこで、その環球時報の論評を見てみよう。沖縄大学教授である劉剛が書いた「沖縄の帰属先は未定・日本は我が物顔をするな」がそれだが、ここでもこんなことが。
―――歴史、文化的に見て、沖縄と中国は非常に深い繋がりがある。沖縄島人は中国南方人に近い。琉球方言は明らかに福建方言の影響を受けている。琉球人は豚肉が好きだが、日本人の主流は豚肉を食べない。琉球人の官服、官帽は明朝を真似たものだった。
随分インチキな解説だ。官服云々は別としても、人種的、言語的に見れば沖縄の人々は、「中国南方人」ではなく日本人と同じだからだ。
―――戦後、沖縄の帰属先については一貫して議論がある。一九四五年の日本の敗戦により、カイロ宣言、ポツダム宣言に基づき、日本は本土四島しか領有できず、武力で併呑した沖縄列島は放棄しなければならなくなった。
これも間違い。日本の敗戦後の領土範囲はサンフランシスコ講和条約によって最終決定されたのであって、カイロ宣言、ポツダム宣言に如何なる戦後処理方針が書かれていようと、すべては無に帰したのである(そもそもそれらに沖縄放棄の規定はない)。
――― 一九五一年のサンフランシスコ講和条約は中国の同意もないままに、沖縄を米国の信託統治下に置き、さらに一九七一年には米国は沖縄の信託統治権を密かに日本へ渡してしまった。しかし日本に対しては沖縄列島の行政、立法、司法権を引き渡しただけで、日本へ沖縄の主権を渡したわけではない。
―――このように日本の沖縄の占有は、国際法的根拠のないものなのだ。
やはり劉剛も雷玉虹と同じような事実捏造を行っている。おそらくこれが中国官製の論理なのだろう。
もっともあまりに稚拙な作り話なので、さすがに中国政府自らはこうした論法はとっていない。だがいずれ東支那海を制覇し、沖縄に大きな影響力を及ぼす段階に至ったなら、沖縄の日本本土からの切り離し工作を正当化するため、こうしたプロパガンダを国際社会に向けて実行するのだろう。
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13時00分 支部大会(どなたも参加可能)
14時00分 講演会・シンポジウム
17時00分 懇親会
場所 群馬会館 ホール
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内容
《基調講演》三輪和雄
《シンポジウム》赤池誠章、小坂英二、永山英樹 / 三輪和雄(進行役)
参加費 1,000円
懇親会 会費 3,500円 / 定員 50名
主催 頑張れ日本!全国行動委員会 群馬県支部
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