台湾問題の基礎知識―日本は台湾を「返還」していない
2012/08/09/Thu
■日華平和条約に関する馬英九総統の歴史捏造
日本と中国(中華民国)との講和条約である日華平和条約の発効から八月五日で六十年を迎え(現在は無効)、台湾では外交部主催の記念のシンポジウムが行われたが、そこで公然と歴史捏造に基づく発言を行ったのが馬英九総統だ。
「中華民国は一九四五年、台湾を取り戻した。日華平和条約は日本が台湾を中華民国へ返還したこと確認するものだった」というのがそれだ。

「日本は台湾を返還した」との歴史捏造の宣伝を公然と行い、「中国」
の台湾支配の正当性を強調した馬英九総統
一九四五年の終戦を受け、マッカーサーの命令で台湾へ進駐軍を派遣した中華民国は、台湾の領土編入を宣言するとうう不法行為に出た。そして一九四九年に国共内戦で敗れるや、この島へ政府を遷し(政権亡命を行い)、その不法支配を継続した。
もっとも当時はまだ台湾は日本領土だった。日本は一九五三年四月発効のサンフランシスコ講和条約に基づき、それで初めて台湾を放棄したのだった。

サンフランシスコ条約で日本は台湾を放棄しただけで、それをどこの国にも
割譲していない
そして同年八月六日、サンフランシスコ講和会議に招かれなかった中華民国との間の日華平和条約が発効されたわけだが、その第二条で中華民国は、日本がサンフランシスコ講和条約に基づいて台湾を放棄したこと(つまり中華民国に返還しなかったこと)を承認しているのである。
■日本大使の真実発言に激怒した馬英九と中共
日本は台湾の中華民国を承認したのだから、台湾を中華民国の領土と承認したのだと言うのが馬英九の持論だ。
だが実際には日本は、米国の要求に従い、「中国政権」として中華民国亡命政権を承認しただけであり、その領土範囲に台湾が含まれることを承認したわけではなかったのだ。
しかしもちろん、馬英九政権はこの法的事実を隠蔽したい。なぜならそれを認めてしまえば、中華民国体制の不法性が明らかになり、台湾独立勢力(中華民国支配からの台湾独立)に勢いを与えてしまうことを、この在台中国人勢力は恐れているからだ。

台湾は「中国領土」だと強調するため、歴史捏造宣伝で使われる日華平和条約
そればかりか中国にもまた、それを絶対に隠蔽しなければならない事情がある。
なぜならあの国の台湾領有権の主張は、「日本は台湾を中華民国に返還し、その中華民国はすでに滅亡したのだから、台湾の領有権は中華人民共和国が継承している」と言うものだからだ。
そのため〇九年に日本の斉藤正樹交流協会台北事務所長(駐台大使に相当)が台湾で、日華平和条約に基づき台湾は返還されたとする馬英九氏の発言に対し、「台湾の地位は未確定」(法的地位=帰属先は未定)と発言するや、この真実発言に対して馬英九政権は激怒したばかりか、中国政府まで日本側に強く抗議している。
■国民党の宣伝に洗脳されている台湾人
馬英九氏は五日の発言の中で、「日本は台湾を中華民国に返還すべし」と規定したカイロ宣言の履行を四五年九月の休戦協定で履行を誓約したことに触れ、「台湾返還」は行われたと強調している。
だが事実を言えば、日本はその誓約を果たす前に台湾を放棄してしまった、「返還」は永遠に不可能になっているのである。
だからこそ日華平和条約では中華民国も、サンフランシスコ講和条約の規定を承認せざるを得なかったわけだ。

日華平和条約により中華民国も日本の台湾放棄(返還ではない)を
認めていたが…
五日には台北市内で羅福全元駐日代表(駐日大使に相当)に関する『羅福全と台日外交』(張炎憲・陳美蓉編)の出版発表会が行われたが、そこでは羅福全氏も「日華平和条約で台湾は中華民国に返還された」とする馬英九氏の主張に関し、「誤った歴史観。日華条約の精神に反している」と批判している。

歴史の仁実を明らかにする羅福全元駐日代表
しかしそうした誤った主張、宣伝が台湾国内でまかり通ってしまうのは、一般の国民がその宣伝によって洗脳されているからなのである。
■民主化後に台湾の帰属先は確定されたか
それでは台湾の法的地位が未定なら、この島はどこに帰属するべきなのか。
それはもちろん国際法の住民自決の原則に従い、台湾住民自らが決定すべきことであるし、実際にサンフランシスコ講和会議の参加国も、そのように考えていた。台湾の主権は台湾住民に帰属させる以外にないと。
しかしいまだに自決が行われずにいるのは、かつてはそれを断じて許さない国民党独裁政権の「暴力」のためであり、そして今日では中国の「武力」のためである。
中国はこれまで繰り返し、もし台湾が独立宣言を行えば(あるいは独立を問う住民投票が実施されるだけでも)、武力行使を行うと恫喝している。
もっとも九〇年代の民主化、なかんずく台湾住民が直接元首を選出した九六年の総統選挙によって住民自決は行われ、中華民国も「中国亡命政権」から「台湾政権」へと変貌を遂げ、台湾の法的地位は「確立」したとの見方も有力だ。
しかしそれには否定的な見解もある。自らを中国政権とする中華民国憲法が、いまだに奉戴されているからだ。
■中国に「台湾侵略」の口実を与える馬英九政権
事実、今日の馬英九政権はその憲法に従い、ふたたび「一つの中国」(台湾は中国の一部)の看板を掲げ出しているのである。
「台湾返還」を強調して「中国政権」としての中華民国による台湾領有の合法性をでっち上げるのに懸命なのもそのためだが、しかしそのために中華人民共和国には台湾併呑の口実を与えてしまっている。
これは台湾併呑で「建国の大業」を達成し、さらにその島を足場にアジアでの覇権確立を目指して政権の正統性を自国民に誇示しなければならない中共には、何とも喜ばしい状況である。
むしろ馬英九政権は、その中国との対立を恐れ、それを満足させるために「一つの中国」を掲げていると見ることもできる。
これは明らかに台湾には危機だ。そして地政学上「台湾の危機」は、「日本の危機」をも意味する。
■「一つの中国」宣伝からの脱却は日本の急務
そうしたなか、もし日本が「台湾返還はなかった」と、台湾、中国、そして国際社会に対して「証言」したらどうなるだろう。
各国の前で馬英九政権、中共政権の「一つの中国」なる宣伝の虚構性が暴かれ、中国が国家目標として掲げる「中国統一」と言うものが、実は不法な台湾併呑と言う侵略行為に過ぎないことが明らかになりに違いない。
そしてこの問題は国際社会の監視下に置かれざるを得なくなり、それで中国覇権主義にはこれまでにない抑止力が形成され、台湾はもとより、日本の安全をも大きく保障されることになるはずだ。
しかし日本政府には「台湾返還はなかった」と証言し、中国の所謂「核心的利益」に挑戦する勇気はない(中国は「台湾は中国の核心的利益」と喧伝し、各国が台湾問題に干渉すること必死に牽制しているところだ)。
台湾、中国からの批判にさらされた斉藤正樹氏の「台湾の地位は未確定」との発言についても、「斉藤氏の個人的発言」として庇護することはしなかった。
このような自らの首をいずれは絞めかねない日本政府の対応も、国内世論の批判があれば改めざるを得なくなるのだが、実は日本人のほとんども中国人の宣伝に洗脳され、「一つの中国」「台湾返還」が「ウソ」であることを見抜けずにいるのである。
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「愛台湾」納涼会(台湾研究フォーラム第156回定例会)

日時 8月11日(土)午後6時~8時
場所 台南担仔麺新宿店(東京都新宿区歌舞伎町2丁目45-1)
西武新宿駅[北口]から徒歩約2分
内容 台湾料理を楽しみながら懇親を深め、台湾建国運動への英気を養う。
会費 3000円(飲み放題)
主催 台湾研究フォーラム
申し込み mamoretaiwan@gmail.com 090-4138-6397
日本と中国(中華民国)との講和条約である日華平和条約の発効から八月五日で六十年を迎え(現在は無効)、台湾では外交部主催の記念のシンポジウムが行われたが、そこで公然と歴史捏造に基づく発言を行ったのが馬英九総統だ。
「中華民国は一九四五年、台湾を取り戻した。日華平和条約は日本が台湾を中華民国へ返還したこと確認するものだった」というのがそれだ。

「日本は台湾を返還した」との歴史捏造の宣伝を公然と行い、「中国」
の台湾支配の正当性を強調した馬英九総統
一九四五年の終戦を受け、マッカーサーの命令で台湾へ進駐軍を派遣した中華民国は、台湾の領土編入を宣言するとうう不法行為に出た。そして一九四九年に国共内戦で敗れるや、この島へ政府を遷し(政権亡命を行い)、その不法支配を継続した。
もっとも当時はまだ台湾は日本領土だった。日本は一九五三年四月発効のサンフランシスコ講和条約に基づき、それで初めて台湾を放棄したのだった。

サンフランシスコ条約で日本は台湾を放棄しただけで、それをどこの国にも
割譲していない
そして同年八月六日、サンフランシスコ講和会議に招かれなかった中華民国との間の日華平和条約が発効されたわけだが、その第二条で中華民国は、日本がサンフランシスコ講和条約に基づいて台湾を放棄したこと(つまり中華民国に返還しなかったこと)を承認しているのである。
■日本大使の真実発言に激怒した馬英九と中共
日本は台湾の中華民国を承認したのだから、台湾を中華民国の領土と承認したのだと言うのが馬英九の持論だ。
だが実際には日本は、米国の要求に従い、「中国政権」として中華民国亡命政権を承認しただけであり、その領土範囲に台湾が含まれることを承認したわけではなかったのだ。
しかしもちろん、馬英九政権はこの法的事実を隠蔽したい。なぜならそれを認めてしまえば、中華民国体制の不法性が明らかになり、台湾独立勢力(中華民国支配からの台湾独立)に勢いを与えてしまうことを、この在台中国人勢力は恐れているからだ。

台湾は「中国領土」だと強調するため、歴史捏造宣伝で使われる日華平和条約
そればかりか中国にもまた、それを絶対に隠蔽しなければならない事情がある。
なぜならあの国の台湾領有権の主張は、「日本は台湾を中華民国に返還し、その中華民国はすでに滅亡したのだから、台湾の領有権は中華人民共和国が継承している」と言うものだからだ。
そのため〇九年に日本の斉藤正樹交流協会台北事務所長(駐台大使に相当)が台湾で、日華平和条約に基づき台湾は返還されたとする馬英九氏の発言に対し、「台湾の地位は未確定」(法的地位=帰属先は未定)と発言するや、この真実発言に対して馬英九政権は激怒したばかりか、中国政府まで日本側に強く抗議している。
■国民党の宣伝に洗脳されている台湾人
馬英九氏は五日の発言の中で、「日本は台湾を中華民国に返還すべし」と規定したカイロ宣言の履行を四五年九月の休戦協定で履行を誓約したことに触れ、「台湾返還」は行われたと強調している。
だが事実を言えば、日本はその誓約を果たす前に台湾を放棄してしまった、「返還」は永遠に不可能になっているのである。
だからこそ日華平和条約では中華民国も、サンフランシスコ講和条約の規定を承認せざるを得なかったわけだ。

日華平和条約により中華民国も日本の台湾放棄(返還ではない)を
認めていたが…
五日には台北市内で羅福全元駐日代表(駐日大使に相当)に関する『羅福全と台日外交』(張炎憲・陳美蓉編)の出版発表会が行われたが、そこでは羅福全氏も「日華平和条約で台湾は中華民国に返還された」とする馬英九氏の主張に関し、「誤った歴史観。日華条約の精神に反している」と批判している。

歴史の仁実を明らかにする羅福全元駐日代表
しかしそうした誤った主張、宣伝が台湾国内でまかり通ってしまうのは、一般の国民がその宣伝によって洗脳されているからなのである。
■民主化後に台湾の帰属先は確定されたか
それでは台湾の法的地位が未定なら、この島はどこに帰属するべきなのか。
それはもちろん国際法の住民自決の原則に従い、台湾住民自らが決定すべきことであるし、実際にサンフランシスコ講和会議の参加国も、そのように考えていた。台湾の主権は台湾住民に帰属させる以外にないと。
しかしいまだに自決が行われずにいるのは、かつてはそれを断じて許さない国民党独裁政権の「暴力」のためであり、そして今日では中国の「武力」のためである。
中国はこれまで繰り返し、もし台湾が独立宣言を行えば(あるいは独立を問う住民投票が実施されるだけでも)、武力行使を行うと恫喝している。
もっとも九〇年代の民主化、なかんずく台湾住民が直接元首を選出した九六年の総統選挙によって住民自決は行われ、中華民国も「中国亡命政権」から「台湾政権」へと変貌を遂げ、台湾の法的地位は「確立」したとの見方も有力だ。
しかしそれには否定的な見解もある。自らを中国政権とする中華民国憲法が、いまだに奉戴されているからだ。
■中国に「台湾侵略」の口実を与える馬英九政権
事実、今日の馬英九政権はその憲法に従い、ふたたび「一つの中国」(台湾は中国の一部)の看板を掲げ出しているのである。
「台湾返還」を強調して「中国政権」としての中華民国による台湾領有の合法性をでっち上げるのに懸命なのもそのためだが、しかしそのために中華人民共和国には台湾併呑の口実を与えてしまっている。
これは台湾併呑で「建国の大業」を達成し、さらにその島を足場にアジアでの覇権確立を目指して政権の正統性を自国民に誇示しなければならない中共には、何とも喜ばしい状況である。
むしろ馬英九政権は、その中国との対立を恐れ、それを満足させるために「一つの中国」を掲げていると見ることもできる。
これは明らかに台湾には危機だ。そして地政学上「台湾の危機」は、「日本の危機」をも意味する。
■「一つの中国」宣伝からの脱却は日本の急務
そうしたなか、もし日本が「台湾返還はなかった」と、台湾、中国、そして国際社会に対して「証言」したらどうなるだろう。
各国の前で馬英九政権、中共政権の「一つの中国」なる宣伝の虚構性が暴かれ、中国が国家目標として掲げる「中国統一」と言うものが、実は不法な台湾併呑と言う侵略行為に過ぎないことが明らかになりに違いない。
そしてこの問題は国際社会の監視下に置かれざるを得なくなり、それで中国覇権主義にはこれまでにない抑止力が形成され、台湾はもとより、日本の安全をも大きく保障されることになるはずだ。
しかし日本政府には「台湾返還はなかった」と証言し、中国の所謂「核心的利益」に挑戦する勇気はない(中国は「台湾は中国の核心的利益」と喧伝し、各国が台湾問題に干渉すること必死に牽制しているところだ)。
台湾、中国からの批判にさらされた斉藤正樹氏の「台湾の地位は未確定」との発言についても、「斉藤氏の個人的発言」として庇護することはしなかった。
このような自らの首をいずれは絞めかねない日本政府の対応も、国内世論の批判があれば改めざるを得なくなるのだが、実は日本人のほとんども中国人の宣伝に洗脳され、「一つの中国」「台湾返還」が「ウソ」であることを見抜けずにいるのである。
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