尖閣を琉球領と見ていた明国使節/産経報道への中国の反論見たい
2012/07/17/Tue
■中国のご都合主義の主張も大きく崩れる
七月十七日付の産経新聞は一面トップで、「明の上奏文に『尖閣は琉球』と明記」と題する記事を掲載。
それにれば「尖閣諸島(沖縄県石垣市)のひとつ、大正島について、中国・明から1561年に琉球王朝(沖縄)へ派遣された使節、郭汝霖が皇帝に提出した上奏文に『琉球』と明記されていたことが、石井望・長崎純心大准教授(漢文学)の調査で分か」り、「中国は尖閣諸島を「明代から中国の領土で台湾の付属島嶼-だった」と主張しているが、根拠が大きく崩れることになる」という。
上奏文は「琉球への航海中の模様」を書き記したもので、そこには「行きて閏五月初三日に至り、琉球の境に渉る。界地は赤嶼(大正島)と名づけらる」と記しているという。
ちなみに原文は「行至閏五月初三日渉琉球境界地名亦赤嶼」。

実は郭汝霖は当時、「使琉球録」と言う航海日誌も残していて、そこには「閏五月初一日過釣魚嶼初三日至赤嶼焉赤嶼者界琉球地方山也再一日之風即望姑米山」とあった。
つまり「閏五月初一日に釣魚嶼(魚釣島)を過ぎ、初三日に赤嶼へ至る。赤嶼は琉球地方を界する山(島)で、更に一日進むと姑米山(久米山)を望むことができる」との意である。
曖昧な表記と言えるが、しかしこれ以って中国人は「赤嶼が琉球との境であり、その東の久米島から琉球の版図であるから、赤嶼から西、つまり魚釣り島を含む尖閣諸島などは中国の台湾の付属島嶼だ」と一方的に解釈、断言し、この文献を中国領有論の根拠の一つとして喧伝してきた。
「琉球のものではないから中国のものだ」と極め付けるのも、ご都合主義の極みと言えるが、しかし今回指摘された上奏文は「使琉球録」の記述よりもより詳細であり、少なくとも郭汝霖は、大正島を中国の版図であるとは認識していなかったことが明らかになった。
たしかにこれで、中国の主張の根拠は「大きく崩れることになる」。
■台湾ですらも日本領土と認識していた中国人
また、石井准教授の調査では「1683年に派遣された清の琉球使節、汪楫が道中を詠んだ漢詩で『東沙山を過ぐればこれ閩山の尽くるところなり』《現在の台湾・馬祖島を過ぎれば福建省が尽きる》と中国は大陸から約15キロしか離れていない島までとの認識を示していたことも分かった」という。
つまり尖閣諸島全体も、中国のものとは認識されていなかったのだ。

明の琉球への使節が辿った福州ー琉球航路。「赤尾嶼」が「赤嶼」
さらに記事によれば、「その後に勅命編纂された清の地理書『大清一統志』も台湾の北東端を『鶏籠城(現在の基隆市)』と定めていたことが、すでに下條正男・拓殖大教授の調べで明らかになっている」。
『大清一統志』とは清の乾隆帝が編纂を命じたものだが、そこには台湾についてさらに「自古荒服之地不通中国名曰東番明天啟中為紅毛荷蘭夷人所拠属於日本」とある。
これを訳せば驚くなかれ、「台湾は古来、中国から遠く離れた地であり東番と呼んだ。明の天啟年間にオランダに占領されたが、日本に属する」となる。
要するに「十七世紀前葉の時点で台湾は日本の領土だった」と言っているのだ。
これは明の兵力が及ばない当時あの島が倭寇の拠点になっていたことからくる誤解であると同時に、台湾が中国の領土でないばかりか、中国人にとって台湾が未知の島だったとの事実を明かすものである。
ところが今や中国人は、十六世紀の明の琉球への施設の航海日誌に尖閣諸島のの存在が記されていることだけを以って、同諸島が「中国台湾の付属島嶼」だと主張しているわけだから噴飯ものである。
■産経の特報VS香港の特報―中国人専門家のコメントは如何
さて、今回の産経新聞の報道を中国メディアはどのように取り上げたかと言うと、ネットで確認する限り、十七日午前の段階では何の反応も見せていないようだ。
尖閣諸島に関する日本での報道が引用され、批判を加えられることはしばしばなのだが、今回はさすがに反論しにくいと見える。
その代わり、と言うわけではないようだが、この日は香港の文匯報が、おそらく中国人から見れば、産経の報道に匹敵するほどの特報を行っている。
それによれば香港の「著名な釣魚島研究学者である鄭海麟」が、「釣魚台が日本に帰属しないことを証明する最も有力な日本側の歴史文献」として「明治九年(一八七六年)に日本の陸軍参謀局が製作した『大日本全図』」を提示したと言う。

香港の尖閣専門家はレベルが低い
何でもその地図には「明らかに釣魚台列嶼が琉球群島には含まれていないため、そこが中国領土であることを逆に証明している」とか。
「公の文献であるため、国際法上の効力を備えている。国際法廷でも、中国側の有力な証拠となるだろう」などとも強調しているのだが、中国の「著名な釣魚島研究学者」など、所詮はこの程度のレベルなのだ。
日本政府は一八九五年一月に尖閣諸島を領有するまで、同諸島が「無主の地」であることを確認していた。つまり琉球領土とは見ていなかったのであり、そのためその地図も、そのように表記しただけである。
ここでも「琉球のものではないから中国のものだ」と強弁されているわけだが、それなら明の時代の台湾は「中国のものではないから琉球のもの」か。
「釣魚島研究学者」としては、その地図が製作された当時、清が同諸島を実行支配していた証拠を探すべきだろう。
またこの人物には、今回存在が確認された郭汝霖の上奏文に関する「学者」としてのコメントも聞きたいところだ。
*******************************************
ブログランキング参加中
運動を拡大したいので、
よろしければクリックをお願いします。
↓↓

モバイルはこちら → http://blog.with2.net/link.php
link.php
■台湾研究フォーラム 第155回定例会

講師 土屋敬之氏(東京都議会議員・拓殖大学日本文化研究所客員教授)
演題「日本と台湾の友好の絆一日本統治時代前から今日、未来へ」
日時 7月17日(火) 18時30分~20時30分
場所 文京区民会議室4Fホール (文京シビックセンター内。文京区民センターではありません)
交通 東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
JR総武線「水道橋駅」(東口)徒歩9分
(講師より)
台湾から、東北大震災に対する義援金は、200億を超え、世界からの支援第一位となっている。
これは、日本と台湾との友情が、政治的な圧力に反して、強固なものであることを証明している。
台湾統治時代も、台湾住民は勇壮に「大東亜戦争を戦った」その後、いわゆる国民政府からの白
色テロを克服して、台湾は確実に「中共ではない“台湾”」を世界に発信している。
以前、わが国は中華民国政府と国交があった。田中買弁内閣で国交が断絶したが、その後、李登輝氏が
総統に就任することで、台湾人の台湾の道を歩み始めている。ある意味、いい結果が出たと言うことだ。
確かに、台湾の前途は困難ではある。しかし、北京政府がいくらとりつくろうとも、自由民主主義
は台湾にしかない。(後略)
会費 会員 500円/一般 1,000円
懇親会(閉会後、近くの居酒屋で)3,000円
お申込 mamoretaiwan@gmail.com
お問合せ 090-4138-6397
七月十七日付の産経新聞は一面トップで、「明の上奏文に『尖閣は琉球』と明記」と題する記事を掲載。
それにれば「尖閣諸島(沖縄県石垣市)のひとつ、大正島について、中国・明から1561年に琉球王朝(沖縄)へ派遣された使節、郭汝霖が皇帝に提出した上奏文に『琉球』と明記されていたことが、石井望・長崎純心大准教授(漢文学)の調査で分か」り、「中国は尖閣諸島を「明代から中国の領土で台湾の付属島嶼-だった」と主張しているが、根拠が大きく崩れることになる」という。
上奏文は「琉球への航海中の模様」を書き記したもので、そこには「行きて閏五月初三日に至り、琉球の境に渉る。界地は赤嶼(大正島)と名づけらる」と記しているという。
ちなみに原文は「行至閏五月初三日渉琉球境界地名亦赤嶼」。

実は郭汝霖は当時、「使琉球録」と言う航海日誌も残していて、そこには「閏五月初一日過釣魚嶼初三日至赤嶼焉赤嶼者界琉球地方山也再一日之風即望姑米山」とあった。
つまり「閏五月初一日に釣魚嶼(魚釣島)を過ぎ、初三日に赤嶼へ至る。赤嶼は琉球地方を界する山(島)で、更に一日進むと姑米山(久米山)を望むことができる」との意である。
曖昧な表記と言えるが、しかしこれ以って中国人は「赤嶼が琉球との境であり、その東の久米島から琉球の版図であるから、赤嶼から西、つまり魚釣り島を含む尖閣諸島などは中国の台湾の付属島嶼だ」と一方的に解釈、断言し、この文献を中国領有論の根拠の一つとして喧伝してきた。
「琉球のものではないから中国のものだ」と極め付けるのも、ご都合主義の極みと言えるが、しかし今回指摘された上奏文は「使琉球録」の記述よりもより詳細であり、少なくとも郭汝霖は、大正島を中国の版図であるとは認識していなかったことが明らかになった。
たしかにこれで、中国の主張の根拠は「大きく崩れることになる」。
■台湾ですらも日本領土と認識していた中国人
また、石井准教授の調査では「1683年に派遣された清の琉球使節、汪楫が道中を詠んだ漢詩で『東沙山を過ぐればこれ閩山の尽くるところなり』《現在の台湾・馬祖島を過ぎれば福建省が尽きる》と中国は大陸から約15キロしか離れていない島までとの認識を示していたことも分かった」という。
つまり尖閣諸島全体も、中国のものとは認識されていなかったのだ。

明の琉球への使節が辿った福州ー琉球航路。「赤尾嶼」が「赤嶼」
さらに記事によれば、「その後に勅命編纂された清の地理書『大清一統志』も台湾の北東端を『鶏籠城(現在の基隆市)』と定めていたことが、すでに下條正男・拓殖大教授の調べで明らかになっている」。
『大清一統志』とは清の乾隆帝が編纂を命じたものだが、そこには台湾についてさらに「自古荒服之地不通中国名曰東番明天啟中為紅毛荷蘭夷人所拠属於日本」とある。
これを訳せば驚くなかれ、「台湾は古来、中国から遠く離れた地であり東番と呼んだ。明の天啟年間にオランダに占領されたが、日本に属する」となる。
要するに「十七世紀前葉の時点で台湾は日本の領土だった」と言っているのだ。
これは明の兵力が及ばない当時あの島が倭寇の拠点になっていたことからくる誤解であると同時に、台湾が中国の領土でないばかりか、中国人にとって台湾が未知の島だったとの事実を明かすものである。
ところが今や中国人は、十六世紀の明の琉球への施設の航海日誌に尖閣諸島のの存在が記されていることだけを以って、同諸島が「中国台湾の付属島嶼」だと主張しているわけだから噴飯ものである。
■産経の特報VS香港の特報―中国人専門家のコメントは如何
さて、今回の産経新聞の報道を中国メディアはどのように取り上げたかと言うと、ネットで確認する限り、十七日午前の段階では何の反応も見せていないようだ。
尖閣諸島に関する日本での報道が引用され、批判を加えられることはしばしばなのだが、今回はさすがに反論しにくいと見える。
その代わり、と言うわけではないようだが、この日は香港の文匯報が、おそらく中国人から見れば、産経の報道に匹敵するほどの特報を行っている。
それによれば香港の「著名な釣魚島研究学者である鄭海麟」が、「釣魚台が日本に帰属しないことを証明する最も有力な日本側の歴史文献」として「明治九年(一八七六年)に日本の陸軍参謀局が製作した『大日本全図』」を提示したと言う。

香港の尖閣専門家はレベルが低い
何でもその地図には「明らかに釣魚台列嶼が琉球群島には含まれていないため、そこが中国領土であることを逆に証明している」とか。
「公の文献であるため、国際法上の効力を備えている。国際法廷でも、中国側の有力な証拠となるだろう」などとも強調しているのだが、中国の「著名な釣魚島研究学者」など、所詮はこの程度のレベルなのだ。
日本政府は一八九五年一月に尖閣諸島を領有するまで、同諸島が「無主の地」であることを確認していた。つまり琉球領土とは見ていなかったのであり、そのためその地図も、そのように表記しただけである。
ここでも「琉球のものではないから中国のものだ」と強弁されているわけだが、それなら明の時代の台湾は「中国のものではないから琉球のもの」か。
「釣魚島研究学者」としては、その地図が製作された当時、清が同諸島を実行支配していた証拠を探すべきだろう。
またこの人物には、今回存在が確認された郭汝霖の上奏文に関する「学者」としてのコメントも聞きたいところだ。
*******************************************
ブログランキング参加中
運動を拡大したいので、
よろしければクリックをお願いします。
↓↓

モバイルはこちら → http://blog.with2.net/link.php
link.php
■台湾研究フォーラム 第155回定例会

講師 土屋敬之氏(東京都議会議員・拓殖大学日本文化研究所客員教授)
演題「日本と台湾の友好の絆一日本統治時代前から今日、未来へ」
日時 7月17日(火) 18時30分~20時30分
場所 文京区民会議室4Fホール (文京シビックセンター内。文京区民センターではありません)
交通 東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
都営地下鉄三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
JR総武線「水道橋駅」(東口)徒歩9分
(講師より)
台湾から、東北大震災に対する義援金は、200億を超え、世界からの支援第一位となっている。
これは、日本と台湾との友情が、政治的な圧力に反して、強固なものであることを証明している。
台湾統治時代も、台湾住民は勇壮に「大東亜戦争を戦った」その後、いわゆる国民政府からの白
色テロを克服して、台湾は確実に「中共ではない“台湾”」を世界に発信している。
以前、わが国は中華民国政府と国交があった。田中買弁内閣で国交が断絶したが、その後、李登輝氏が
総統に就任することで、台湾人の台湾の道を歩み始めている。ある意味、いい結果が出たと言うことだ。
確かに、台湾の前途は困難ではある。しかし、北京政府がいくらとりつくろうとも、自由民主主義
は台湾にしかない。(後略)
会費 会員 500円/一般 1,000円
懇親会(閉会後、近くの居酒屋で)3,000円
お申込 mamoretaiwan@gmail.com
お問合せ 090-4138-6397
スポンサーサイト