自国海域で中国に敗退!「フィリピン」に見る日本の姿
2012/04/13/Fri
中国が「古来中国の不可分の領土」との歴史捏造の下、領有権を主張するのが南支那海の南沙(スプラトリー)諸島、西沙(パラセル)諸島、東沙(プラタス)諸島だが、それ以外に中沙諸島というものもある。
実はこれはマクルスフィールド堆のこと。「諸島」とは呼ぶが島嶼群ではない。唯一海面から突き出ているのはスカーボロ礁だけだが、あの国はこの岩礁を「黄岩島」と呼び、領有を主張しているのだ。

中国がフィリピンからの奪取を狙うスカーボロ礁
もっともこれはフィリピンの管轄下(フィリピン本島の西約二百キロ。EEZ内)にあり、中国がこれを実効支配したことはない。それでも二〇〇九年二月にフィリピンが自国領と規定する法案を可決すると、中国は猛反発した。そして中華愛国主義にとって南支那海の「黄岩島」は、東支那海の「釣魚島」(尖閣諸島)と並ぶ争奪目標となった。
さて四月九日、そのスカーボロ礁において密猟していた中国漁船をフィリピン海軍のフリゲートPF一五(同軍の旗艦。南支那海警戒のため、昨年米海軍から購入した一九六七年製の中古艦)が拿捕した。

比国海軍に拘束された中国人漁民
これに対して中国側は漁船を救出すべく、海監七五と海監八四の二隻を急派した。海監船といえば最近尖閣諸島周辺に出没することで日本でも有名になっている海洋調査船だが、実際には武装した巡視船(法執行船)である。
かくて両者間では現地で睨み合いが始まったが、その一方で中国外交部の劉為民報道官は「両国の友好を守り、南海(南支那海)の平和と安定を守るという大局を大切にし、新たな紛争を作り出してはならない」と訴え、フィリピンのデルロサリオ外相も「中国と外交的な解決方法を目指す」と表明。かくして両国は平和的解決に向けた協議を開始した。
PF一五は十二日の段階で、すでに漁船乗組員を逮捕することなく、現地を離れている。

対峙した比国のPF15(上)と中国の海監75
こうしたフィリピン側の譲歩を受け、一方的に「勝利宣言」を行ったのが中共機関紙人民日報傘下の環球時報だ。
十一日に「一つの南海海域における権益防衛成功の挙」と題する論文を掲げ、次のように強調した。
―――今回の対峙は、フィリピンの南海問題における最近の気炎に打撃を加えた。南沙海域で中国が海軍を用いず、法執行船で漁民を保護することに成功したモデルケースとなった。これは南海諸島での主権行使における新展開だ。
―――今回の行動は外国の南海争議における中国の出方への予測をも改変させた。中国はなお南海の平和と安定を追求するが、しかしフィリピンやベトナムの無節制な行動には忍耐、譲歩をしないということだ。
―――中国の漁民は伝統漁場へ赴くとき、どの漁船も南海海上で五星紅旗を翻す。かつて漁民を保護できない状況下ではしばしば拿捕されたが、今では中国の海監船は彼らのそばにいる。漁船団がいるところ、法執行船もいることになる。
―――もしフィリピンやベトナムの軍艦が中国の海監船や漁船に発砲すれば、南海での衝突は新段階に入ることだろう。必ず中国海軍の断固たる反撃を受けることとなる。
―――もし両国が海戦を望むなら、どうぞ第一撃を加えていただきたい。中国は必ずお付き合い申し上げ、中国にはかなわないとの沈痛な教訓を与えて差し上げよう。
―――中国にはフィリピンに飴を与える義務はない。どうぞご自重のほど。
まさに国内の中華愛国主義をこの上なく満足させるような書き方だ。
フィリピン側は中国と事を構えるのを恐れ、「両国の友好を守り、平和と安定を守るという大局を大切に」との中国側の呼びかけに応じ、ただちに漁船と乗組員を解放したがため、逆にあの国の領土拡張への自信をさらに堅固なものにしてしまったわけだ。
したがってこの「敗退」を挽回することは困難となった。そればかりか今後さらなる「敗退」を余儀なくされるのではないか。
まさに西郷南洲遺訓にある「彼の強大に畏縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に順従する時は、軽侮を招き、好親却て破れ、終に彼の制を受くるに至らん」だが、実際にはそうした危機的状況にすでに陥っているのが日本である。
一昨年の尖閣諸島沖での中国漁船拿捕のときも、中国から「日中関係の大局に打撃を与える。日本はこの点をはっきりと認識すべき」などと恫喝され、「今後の日中関係を考慮して」などと言って犯人を釈放し、「日本による釣魚島海域での我が国の漁船に対する不法な拿捕に対して断固たる闘争を進め、国家主権を守った」との「勝利宣言」を、あの国外交部に許してしまった。
もちろん日本とフィリピンとの状況は異なる。今のところ東支那海での制海空権は日本が握っている。だが問題は、そうした優勢がいつまで持続するかだ。
すでに尖閣海域における海監船の活動を活発化させているではないか。「日本の釣魚島支配の企図を打破することが目的」だとして。
必ず禍根を残すことになる。中国の「軽侮」だけは、いささかも受けてはならないのである。
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平成24年4月14日(土)
【支援街頭演説会】
15時00分 池袋西口前
【講演&支援パーティー】
開場 18時00分
開会 18時30分(~21時00分)
登壇予定(順不同)
イリハム・マハムティ(日本ウイグル協会代表・世界ウイグル会議日本代表)
黄 文雄(作家・評論家)
ペマ・ギャルポ(桐蔭横浜大学教授)
オルホノド・ダイチン(モンゴル自由連盟党幹事長)
ほか
会場 文京区民センター2A会議室 (文京区本郷4-15-14 TEL 03-3814-6731)
都営三田線・大江戸線「春日駅A2出口」徒歩2分、東京メトロ丸ノ内線「後楽園駅4b出口」徒歩5分、東京メトロ南北線「後楽園駅6番出口」徒歩5分、JR水道橋駅東口徒歩15分
支援会費 3,000円 ※ウイグル料理多数あり
主催 頑張れ日本!全国行動委員会 草莽全国地方議員の会 チャンネル桜ニ千人委員会有志の会
連絡先 頑張れ日本!全国行動委員会 TEL 03-5468-9222 http://www.ganbare-nippon.net/
実はこれはマクルスフィールド堆のこと。「諸島」とは呼ぶが島嶼群ではない。唯一海面から突き出ているのはスカーボロ礁だけだが、あの国はこの岩礁を「黄岩島」と呼び、領有を主張しているのだ。

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もっともこれはフィリピンの管轄下(フィリピン本島の西約二百キロ。EEZ内)にあり、中国がこれを実効支配したことはない。それでも二〇〇九年二月にフィリピンが自国領と規定する法案を可決すると、中国は猛反発した。そして中華愛国主義にとって南支那海の「黄岩島」は、東支那海の「釣魚島」(尖閣諸島)と並ぶ争奪目標となった。
さて四月九日、そのスカーボロ礁において密猟していた中国漁船をフィリピン海軍のフリゲートPF一五(同軍の旗艦。南支那海警戒のため、昨年米海軍から購入した一九六七年製の中古艦)が拿捕した。

比国海軍に拘束された中国人漁民
これに対して中国側は漁船を救出すべく、海監七五と海監八四の二隻を急派した。海監船といえば最近尖閣諸島周辺に出没することで日本でも有名になっている海洋調査船だが、実際には武装した巡視船(法執行船)である。
かくて両者間では現地で睨み合いが始まったが、その一方で中国外交部の劉為民報道官は「両国の友好を守り、南海(南支那海)の平和と安定を守るという大局を大切にし、新たな紛争を作り出してはならない」と訴え、フィリピンのデルロサリオ外相も「中国と外交的な解決方法を目指す」と表明。かくして両国は平和的解決に向けた協議を開始した。
PF一五は十二日の段階で、すでに漁船乗組員を逮捕することなく、現地を離れている。


対峙した比国のPF15(上)と中国の海監75
こうしたフィリピン側の譲歩を受け、一方的に「勝利宣言」を行ったのが中共機関紙人民日報傘下の環球時報だ。
十一日に「一つの南海海域における権益防衛成功の挙」と題する論文を掲げ、次のように強調した。
―――今回の対峙は、フィリピンの南海問題における最近の気炎に打撃を加えた。南沙海域で中国が海軍を用いず、法執行船で漁民を保護することに成功したモデルケースとなった。これは南海諸島での主権行使における新展開だ。
―――今回の行動は外国の南海争議における中国の出方への予測をも改変させた。中国はなお南海の平和と安定を追求するが、しかしフィリピンやベトナムの無節制な行動には忍耐、譲歩をしないということだ。
―――中国の漁民は伝統漁場へ赴くとき、どの漁船も南海海上で五星紅旗を翻す。かつて漁民を保護できない状況下ではしばしば拿捕されたが、今では中国の海監船は彼らのそばにいる。漁船団がいるところ、法執行船もいることになる。
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