日本の大切な「親日台湾人」が危ないー中共に呼応し台湾人の思想改造を目論む馬英九総統
2012/04/04/Wed
■台湾人意識の表れとしての「親日感情」
東日本大震災の発生を受け、被災地支援で立ち上がった台湾の人々の「親日感情」に、これほど愛すべき隣人が存在したのかと、大勢の日本国民を感動させたが、当時台湾国内は、こうした台湾人の日本への慈善心こそ、日本の不幸を笑う中国人の「反日感情」との大きな違いだとして、台湾人の優越性を誇らしげに語るような言論がしばしば見られた。
実際に台湾の戦後状況を見ると、反日感情が中国人意識の表れであるのに対し、親日感情は台湾人意識の表れだったように思える。
それと言うのは終戦後、中華民国(国民党)の中国人が台湾を占領し始めた時、畏怖し、そして憎悪したのが、日本統治下で近代教育を施された台湾人の文明レベルの高さだった。
人治、すなわち愚民支配しか知らない前近代的な中国人の権力者にとり、遵法精神に代表される台湾人の近代的国民意識は脅威以外の何物でもなかったのである。
そこで中国人は、それを日本の奴隷化教育の悪影響だと批判し、蔑んだ。一方の台湾人はそれに反発し、逆に日本人との文明的同一性を認識し、それに親しみを寄せるようになった。
■「抗日」で台湾人の思想改造を目論む国民党
かくて国民党が全力を挙げて乗り出したのが、台湾人の中国人化という思想改造工作だった。反日教育を推進することで日本の文化的影響を払拭し、中国人意識の扶植を強行したのだが、それは同時に台湾人意識への抑圧をも意味したのである。
李登輝氏が初の台湾人総統として就任し、中国人支配を打破するや、社会で自ずと高揚したのが台湾人意識だった。それまで触れることも憚れた日本時代の台湾近代化の歴史も、誇りある台湾歴史の一部として、台湾人によって語り出されるようになった。
反日を叫ぶことで確認され、あるいは高揚が図られるのが中国人意識や韓国人意識なら、そうした偏狭な民族意識を排する形で高まったのが台湾人意識であるとも言えるかも知れない。
この台湾人意識は李登輝政権、民進党政権時代を通じて高まる一方となったが、それに危機感を抱いたのが国民党の中国人勢力だった。
民進党から政権を奪還するため、「聯共制台」(中共と連携して台湾人勢力の台頭を抑える)に乗り出した国民党は、「抗日戦争勝利六十年」にあたった二〇〇五年、中共の愛国主義キャンペーンに呼応し、台湾で抗日歴史の顕彰キャンペーンを行い、日本時代に日本に対して武力抗争や自治運動を展開した歴史上の人々を中華民族の「抗日英雄」として喧伝するなどした。
当時同党の馬英九主席がこれについて「日本への反発ではない。国内政策だ」と説明したように、明らかに台湾人の思想改造を再び試みたわけだ。
しかし今の時代において、こうした洗脳工作が台湾人に通用するわけがない。キャンペーンは失敗に終わり、台湾人意識はなお拡大、深化して行った。
しかしその馬英九主席が二〇〇八年、総統に就任したのである。自らを台湾人意識の持ち主とアピールして当選した馬英九総統だが、これが台湾の中国化の夢を捨て去るはずがない。
■中共に呼応して「黄帝」を祭る馬英九総統
さて、中国の伝説上、最初の皇帝とされるのが黄帝だが、「中華民族」との概念で中国を統治しようとした中華民国は、それを同民族の始祖と祭り上げ、一九三五年からは国家行事として、毎年清明節(先祖の墓掃除の日)には陝西省の黄帝陵で祭典を行うようになった。そして同国政府が台湾へ遷った後も黄帝陵遥拝の祭典は、台北の忠烈祠において続けられている。李登輝、民進党政権でも、形式的ながらもこれが継続されたのは、「中華民国体制」の故であろう。

中華愛国主義が讃える黄帝
ところが馬英九総統就任後の〇九年には、それまで総統の代理としての内政部長(内務相)が祭主を務める慣例を破り、同総統自らが祭典に参列した。これは明らかに中華民国が中華民族の国家であることを確認するためのパフォーマンスだった。ちなみに中国でもこの年から、黄帝陵での国家祭典が復活し、台湾、香港、そして世界各地からの中国人も結集させ、中華民族の団結ショーが行われている。
そして今年四月三日(清明節の前日)に行われた台北での祭典は、再び馬英九総統の「親祭」となったのだ。同総統には司法院長、考試院長、監察院長、行政院副院長、內政部長、国防部長などが扈従した。読み上げられた祭文には「両岸和平、同胞一体」との言葉もあり、その政治的意図は明らかだった。

黄帝陵を遥拝する馬英九総統

中国の黄帝陵でも大々的な式典が
まさに中共の「両岸同胞は共同で中華文化の優秀な伝統を継承、発揚し、文化交流を展開して民族意識を増強し、中華民族の偉大な復興の精神的な力を形成しよう」(〇八年十二月、胡錦濤主席の台湾工作に関する談話)との呼び掛けへの呼応ではないか。
そこまでして台湾人の中国人化政策を再開したいのか。
■政治統一の前に文化、思想統一を目指す
五月に政権二期目を迎える同総統の中国傾斜の加速が懸念される中でのこの動きについて、中国の御用メディア各社は嬉しそうに報じたが、台湾国内では反発の声が噴出した。
野党民進党の陳其邁立法委員(国会議員)は、「馬英九は政治上は『一つの中国・一国二地区』を主張し、文化上では中国にルーツを求め、漢文化こそ台湾文化のすべてだと位置付けようとしている。大中国的な傲慢さが余すことなく表れた」と非難した。
鄭欽仁・台湾大学名誉教授も「馬総統は中国に対し、台湾の民主主義、自由主義、人権主義を宣揚するべきなのに、中共に呼応して民族主義、黄帝神話を強調し、思想統一を図ろうとしている」と指摘。
つまり中国との政治統一に先立ち、まずは文化、思想統一を達成しようというわけだから、中共の呼び掛けに忠実に従っていると言わざるを得ない。
さらに鄭欽仁氏は、馬英九総統が呼応するところの中共について、こう語った。
「中国歴代王朝は黄帝神話を継承し、人民を愚弄してきたのは、他国への侵略、併呑を同一血統間の正統性のためであると合理化するためだ。無神論を主張する中共は、一統論で台湾統一の野心を合理化したい。中国境界内のチベット人、ウイグル人、モンゴル人はかつては国家を持っていた。そこで中共は敢えて大声では民族主義を唱えず、その代わりに愛国主義を打ち出している。ただ台湾に対してだけは中華民族を大々的に宣伝し、統一戦線(取り込み)工作を進めている」
■国民党の権力者の眼中に民主、自由、人権はない
もちろん、繰り返しにはなるが、馬英九総統がどんなに中華民族主義を煽ったところで、台湾国民がそれに靡くことはないだろう。しかしそれは同総統も百も承知なのである。
そもそもこの総統が狙っているのは、かつての国民党のような、有無を言わせぬ思想弾圧ではないだろうか。当時のような「白色テロ」の代わりとして、すなわち中共の「威」を借り、台湾人の思想統制、意識改造を強化するのではないかと懸念されているのだ。
国民党の「聯共制台」政策とは、そもそもそのようなもの目指すものなのである。
自由時報は社説で「国民の不満に何も応えることなく、かえって自ら黄帝陵遥式典を主宰するなど、封建時代に天命を受けたとする皇帝を彷彿とさせる」と論じるが、中国人の政治権力文化とはこうしたものなのだ。そこに民主、自由、人権などが重んじられる余地などない。
日本国民が得難い日本の友として見出したばかりの台湾の人々は、今まさにこのような危機的状況に追いやられようとしているのである。
もし将来台湾が中共に献上されでもしたら台湾人は、愚民ならざる近代的文明人であるがゆえに、中共に恐れられ、憎悪され、「白色テロ」に代わる「赤色テロ」で弾圧、逮捕、虐殺の悲劇に見舞われるはずだ。
我々はこのような状況を、手を拱いて見ているだけでいいのだろうかと思うのだ。友情・道義の面からも、東アジア全体の安全保障の面からも。
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東日本大震災の発生を受け、被災地支援で立ち上がった台湾の人々の「親日感情」に、これほど愛すべき隣人が存在したのかと、大勢の日本国民を感動させたが、当時台湾国内は、こうした台湾人の日本への慈善心こそ、日本の不幸を笑う中国人の「反日感情」との大きな違いだとして、台湾人の優越性を誇らしげに語るような言論がしばしば見られた。
実際に台湾の戦後状況を見ると、反日感情が中国人意識の表れであるのに対し、親日感情は台湾人意識の表れだったように思える。
それと言うのは終戦後、中華民国(国民党)の中国人が台湾を占領し始めた時、畏怖し、そして憎悪したのが、日本統治下で近代教育を施された台湾人の文明レベルの高さだった。
人治、すなわち愚民支配しか知らない前近代的な中国人の権力者にとり、遵法精神に代表される台湾人の近代的国民意識は脅威以外の何物でもなかったのである。
そこで中国人は、それを日本の奴隷化教育の悪影響だと批判し、蔑んだ。一方の台湾人はそれに反発し、逆に日本人との文明的同一性を認識し、それに親しみを寄せるようになった。
■「抗日」で台湾人の思想改造を目論む国民党
かくて国民党が全力を挙げて乗り出したのが、台湾人の中国人化という思想改造工作だった。反日教育を推進することで日本の文化的影響を払拭し、中国人意識の扶植を強行したのだが、それは同時に台湾人意識への抑圧をも意味したのである。
李登輝氏が初の台湾人総統として就任し、中国人支配を打破するや、社会で自ずと高揚したのが台湾人意識だった。それまで触れることも憚れた日本時代の台湾近代化の歴史も、誇りある台湾歴史の一部として、台湾人によって語り出されるようになった。
反日を叫ぶことで確認され、あるいは高揚が図られるのが中国人意識や韓国人意識なら、そうした偏狭な民族意識を排する形で高まったのが台湾人意識であるとも言えるかも知れない。
この台湾人意識は李登輝政権、民進党政権時代を通じて高まる一方となったが、それに危機感を抱いたのが国民党の中国人勢力だった。
民進党から政権を奪還するため、「聯共制台」(中共と連携して台湾人勢力の台頭を抑える)に乗り出した国民党は、「抗日戦争勝利六十年」にあたった二〇〇五年、中共の愛国主義キャンペーンに呼応し、台湾で抗日歴史の顕彰キャンペーンを行い、日本時代に日本に対して武力抗争や自治運動を展開した歴史上の人々を中華民族の「抗日英雄」として喧伝するなどした。
当時同党の馬英九主席がこれについて「日本への反発ではない。国内政策だ」と説明したように、明らかに台湾人の思想改造を再び試みたわけだ。
しかし今の時代において、こうした洗脳工作が台湾人に通用するわけがない。キャンペーンは失敗に終わり、台湾人意識はなお拡大、深化して行った。
しかしその馬英九主席が二〇〇八年、総統に就任したのである。自らを台湾人意識の持ち主とアピールして当選した馬英九総統だが、これが台湾の中国化の夢を捨て去るはずがない。
■中共に呼応して「黄帝」を祭る馬英九総統
さて、中国の伝説上、最初の皇帝とされるのが黄帝だが、「中華民族」との概念で中国を統治しようとした中華民国は、それを同民族の始祖と祭り上げ、一九三五年からは国家行事として、毎年清明節(先祖の墓掃除の日)には陝西省の黄帝陵で祭典を行うようになった。そして同国政府が台湾へ遷った後も黄帝陵遥拝の祭典は、台北の忠烈祠において続けられている。李登輝、民進党政権でも、形式的ながらもこれが継続されたのは、「中華民国体制」の故であろう。

中華愛国主義が讃える黄帝
ところが馬英九総統就任後の〇九年には、それまで総統の代理としての内政部長(内務相)が祭主を務める慣例を破り、同総統自らが祭典に参列した。これは明らかに中華民国が中華民族の国家であることを確認するためのパフォーマンスだった。ちなみに中国でもこの年から、黄帝陵での国家祭典が復活し、台湾、香港、そして世界各地からの中国人も結集させ、中華民族の団結ショーが行われている。
そして今年四月三日(清明節の前日)に行われた台北での祭典は、再び馬英九総統の「親祭」となったのだ。同総統には司法院長、考試院長、監察院長、行政院副院長、內政部長、国防部長などが扈従した。読み上げられた祭文には「両岸和平、同胞一体」との言葉もあり、その政治的意図は明らかだった。

黄帝陵を遥拝する馬英九総統

中国の黄帝陵でも大々的な式典が
まさに中共の「両岸同胞は共同で中華文化の優秀な伝統を継承、発揚し、文化交流を展開して民族意識を増強し、中華民族の偉大な復興の精神的な力を形成しよう」(〇八年十二月、胡錦濤主席の台湾工作に関する談話)との呼び掛けへの呼応ではないか。
そこまでして台湾人の中国人化政策を再開したいのか。
■政治統一の前に文化、思想統一を目指す
五月に政権二期目を迎える同総統の中国傾斜の加速が懸念される中でのこの動きについて、中国の御用メディア各社は嬉しそうに報じたが、台湾国内では反発の声が噴出した。
野党民進党の陳其邁立法委員(国会議員)は、「馬英九は政治上は『一つの中国・一国二地区』を主張し、文化上では中国にルーツを求め、漢文化こそ台湾文化のすべてだと位置付けようとしている。大中国的な傲慢さが余すことなく表れた」と非難した。
鄭欽仁・台湾大学名誉教授も「馬総統は中国に対し、台湾の民主主義、自由主義、人権主義を宣揚するべきなのに、中共に呼応して民族主義、黄帝神話を強調し、思想統一を図ろうとしている」と指摘。
つまり中国との政治統一に先立ち、まずは文化、思想統一を達成しようというわけだから、中共の呼び掛けに忠実に従っていると言わざるを得ない。
さらに鄭欽仁氏は、馬英九総統が呼応するところの中共について、こう語った。
「中国歴代王朝は黄帝神話を継承し、人民を愚弄してきたのは、他国への侵略、併呑を同一血統間の正統性のためであると合理化するためだ。無神論を主張する中共は、一統論で台湾統一の野心を合理化したい。中国境界内のチベット人、ウイグル人、モンゴル人はかつては国家を持っていた。そこで中共は敢えて大声では民族主義を唱えず、その代わりに愛国主義を打ち出している。ただ台湾に対してだけは中華民族を大々的に宣伝し、統一戦線(取り込み)工作を進めている」
■国民党の権力者の眼中に民主、自由、人権はない
もちろん、繰り返しにはなるが、馬英九総統がどんなに中華民族主義を煽ったところで、台湾国民がそれに靡くことはないだろう。しかしそれは同総統も百も承知なのである。
そもそもこの総統が狙っているのは、かつての国民党のような、有無を言わせぬ思想弾圧ではないだろうか。当時のような「白色テロ」の代わりとして、すなわち中共の「威」を借り、台湾人の思想統制、意識改造を強化するのではないかと懸念されているのだ。
国民党の「聯共制台」政策とは、そもそもそのようなもの目指すものなのである。
自由時報は社説で「国民の不満に何も応えることなく、かえって自ら黄帝陵遥式典を主宰するなど、封建時代に天命を受けたとする皇帝を彷彿とさせる」と論じるが、中国人の政治権力文化とはこうしたものなのだ。そこに民主、自由、人権などが重んじられる余地などない。
日本国民が得難い日本の友として見出したばかりの台湾の人々は、今まさにこのような危機的状況に追いやられようとしているのである。
もし将来台湾が中共に献上されでもしたら台湾人は、愚民ならざる近代的文明人であるがゆえに、中共に恐れられ、憎悪され、「白色テロ」に代わる「赤色テロ」で弾圧、逮捕、虐殺の悲劇に見舞われるはずだ。
我々はこのような状況を、手を拱いて見ているだけでいいのだろうかと思うのだ。友情・道義の面からも、東アジア全体の安全保障の面からも。
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