「中国にジャスミン革命なし」と断じた丹羽宇一郎・駐中国大使の意図は何か?
2011/03/03/Thu
■日本の駐中大使は中国の立場に立っていないか
経済大国にして軍事大国、そしてさらには援助大国である中国へのODA供与などナンセンスだと、国民の大方は思うだろう。だが三月一日の自民党外交部会でも、かの丹羽宇一郎駐中国大使は、供与継続は必要だと訴えた。
「日中の戦略的互恵関係のため」というのがその理由だ。尖閣事件で日本が中国の不条理な要求(中国人船長釈放要求)を拒否したことで不安定となり、それを安定させるためには日本が資金援助を提供しなければならないという理屈だが、そこまで日本の屈服を必要とする「日中互恵関係」とはいったい何なのか、と聞きたくなる。

そして、果たしてこの日本の大使は日本の立場に立っているのか、それとも中国の利益を優先させているのか、という疑念も湧いてくる。
さて丹羽氏はこの日、中国での民主革命の可能性についても語っているのだが、こちらの分析も奇妙なものなのだ。
■「期待するな。中国国民に情熱はない」と
丹羽氏は、都市と農村の経済格差、共産党幹部の腐敗、不動産価格の高騰などの問題を挙げ、「国民の不満が爆発して体制に深刻な打撃を与えかねない。ジャスミン革命のような動きが広がっていて中国の指導部は大変気にしている」と説明しながらも、「中国は二十年も一〇%以上の経済成長を続けており、今の生活を壊してまで政権を倒そうという情熱は国民にはない」と断じ、「『ジャスミン革命』が中国に起きる可能性は一般的にない」との見方を示したのだ。
そして「ジャスミン革命のようなことは中国では期待をされない方がいい」とも。
だが、あの国の社会情勢は、そういう簡単なものだろうか。もしやそれは中国政府のためにするリップサービス、あるいは宣伝代行ではないのか。
そう言えば丹羽氏は二月二十八日にも産経新聞などのインタビューに対し、「貧富の拡大も現実にあるが、中国政府は所得の配分を考える方向にかじを切ろうとしている」ことを挙げ、「革命」が発生する可能性を否定していたが、本当に中国政府には、国民の不満を緩和する力はあるのだろうか。
情勢はそれほど甘いものではないはずだ。
■五日間に一件の反抗事件―中国はすでに暴動大国
たとえば仏国営放送RFIの中国語ニュースは二月、こう伝えている。
―――中国では集会、請願、デモ行進、ストライキなどの群衆性事件は増加する一方で、〇五年発表の『社会青書』によると、九三年から〇三年の間、一万件から六万件に増加し、参加人数も三百七万人にまで達した。
―――その後中国政府は群衆性事件に関する数値を発表しなくなったが、国家行政学院公共行政教研室主任の竹立家氏は最近、「暸望東方周刊」(※新華社発行の週刊誌)の取材に対し、〇六年からの一〇年にかけ、群集性事件事件は倍増したことを明らかにした。具体的な数値は示さなかったが、『青書』にある数値や平均速度に照らすと、昨年は少なくとも十八万件に達している。
―――交通大学の「二〇一〇中国危機管理年度報告」によると、昨年の影響力が大きい事件は七十二件で、〇九年の六十件に比べて二割増であり、五日間に一件の割合で発生していることになる。
―――またそのうち、「司法・法執行」関連のものが一八・一%で、それらでは社会民主、腐敗、役人(およびその家族)の不当な言動などが問題になっていた。次いで「災害・事故」が一五・三%。発生地は二十九の省に及び、ほぼ中国全域をカバーする。なかでも河南、北京、湖北、広東で多発している。
―――そしてさらに明らかになったのは、昨年の影響力が大きい危機事件の情報は〇九年に比べ、伝播速度が上がっていることだ。三三%は事件発生当日に広まり、六七%はインターネット、とくに微博(中国版ツイッター)で発信された。
ここでいう「群集性事件」には多くの暴動が含まれているはずだ。当局の規制、弾圧下での反体制行動であるなら、そうした形に発展せざるを得ない場合が多いからである。
このような状況を見れば、中国がすでに経済大国、軍事大国であると同時に、「暴動大国」にもなっていることがわかるだろう。
■丹羽大使は中国政府の狼狽を本当に知らないのか
「今の生活を壊してまで政権を倒そうという情熱は国民にはない」と丹羽氏は言うが、実際には多くの中国国民は逮捕、投獄覚悟で体制に挑まざるを得なくなっているのである。
たしかに中国版ジャスミン革命は今のところ、不発に終わっているようだが、それはもちろん「情熱がない」ためだけではあるまい。まず第一に、当局が徹底弾圧の構えを見せているためである。
台湾の中正大学メディア学部の羅世宏主任は次のように指摘する。
「ある中国学者の分析によると、中国政府はインターネット審査や治安維持のため、国防予算に近い、あるいはそれを上回る金額を投入しているが、しかしそれでも安心できない。だから二度にわたるジャスミン革命では、事前に多くの人権運動家の行動を制限し、公安警察を動員して百人以上を逮捕した」と。
一党独裁の打倒を訴える民主化運動は、「中共の命を絶て」と呼びかけるものに等しく、しかもその力が侮れないからこそ、中共はそこまで脅え、反抗の根絶に全力を傾けているわけである。
ところが「革命」が中国に起きる可能性は「一般的にない」と強調したい丹羽氏は、中国政府のインターネットの取り締まりについて「やや過剰だ」とも言っている。
だがこの中国駐在の大使が、あの政府が政権維持のため、情報封鎖に必死にならざるを得ない状況に追い込まれていることを知らないはずはないだろう。
■中国外交部のメッセージとも重なる丹羽発言
そして中共がもう一つ恐れているのは、西側がそうした民主化要求を支持することである。
だから二月二十七日、「革命」の集会場所に指定された北京・王府井では、警官が海外メディアの記者らに暴行を加え、あるいは拘束したのだ。
この事件に抗議する海外メディアに対して外交部の姜瑜副報道局長は三月一日の定例記者会見で、「何も起きていないのに多くの記者が繁華街にたむろして、交通を妨害し正常な商業秩序に影響を与えた」と反論した。
つまり「何も起きていない。海外は干渉するな」と国際社会に向けてのメッセージであるわけだが、これは「ジャスミン革命の可能性はない。そのようなことは期待をされない方がいい」と言い切った丹羽氏の言葉と重なって聞こえないか。

王府井でのメディア取締りの光景。これでも「何も起きてい
ない」というか
ODAに関する主張もあるように、もし丹羽氏が中国の立場に立って発言する人物なら、中国の民主化運動に反対しても何の不思議もないのである。
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喜安幸夫氏『日中海上決戦―尖閣・沖縄侵攻を阻止せ よ』出版記念講演会
(台湾研究フォーラム第144回定例会)
演題:日中対立―日本がとるべき道
中国の尖閣を狙う動きは序幕に過ぎない。あの国の目標は沖縄全体であり、そしてその次が日本全体。したがって日本の選択肢は中国の属国になるか、それともそれを跳ね返すかの二つのみ。そのいずれをとるべきかを、このたび近未来日中戦争シュミレーションシリーズ最新作『日 中海上決戦―尖閣・沖縄侵攻を阻止せよ』を上梓した喜安幸夫氏に語っていただく。
■講師略歴(きやす・ゆきお)昭和19年中国天津市生まれ。昭和44~47年に台湾大学政治研究所に留学。平成4~17年まで『台湾週 報』編集長を務める。平成10年、『台湾の歴史』で第七回日本文芸家クラブ大賞ノンフィクション賞受賞。平成13年、第三十回池内祥三文 学奨励賞受賞。主な著作は、評論・研究部門では『台湾島抗日秘史』『アジアの反逆』など多数。小説では『日本中国開戦-激震襲う台湾海峡』『新日中戦争-尖閣諸 島を奪回せよ!!』『日中激戦2010-東シナ海艦隊決戦』のほか、時代小説も多数。日本文藝家協会、日本文芸家クラブ会員。日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム会員。
【日 時】3月19日(土)、午後6時15分~8時15分
【場 所】 文京シビックセンター4階 区民会議室 (ホール) ※3階会議室ではありません。
(交 通)営団丸ノ内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分(直接連絡)/都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩2分(直接連絡)/JR総武線「水道橋 駅」徒歩10分。
【参加費】会員500円/一般1000円
会場では『日中海上決戦―尖閣・沖縄侵攻を阻止せよ』(学研バブリッシング刊・990円―税込) の販売とサイン会も行います。
【懇親会】閉会後、会場付近で。会費3000円(学生1000円)
【申し込み】E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp FAX: 03-3868-2101
【問合せ】090-4138-6397
● 会場では23年度会費を受け付けます。新会員も募集しま す。年会費2000円 会員は毎 月の定例会参加費(1000円)が500円にな ります。
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「日中の戦略的互恵関係のため」というのがその理由だ。尖閣事件で日本が中国の不条理な要求(中国人船長釈放要求)を拒否したことで不安定となり、それを安定させるためには日本が資金援助を提供しなければならないという理屈だが、そこまで日本の屈服を必要とする「日中互恵関係」とはいったい何なのか、と聞きたくなる。

そして、果たしてこの日本の大使は日本の立場に立っているのか、それとも中国の利益を優先させているのか、という疑念も湧いてくる。
さて丹羽氏はこの日、中国での民主革命の可能性についても語っているのだが、こちらの分析も奇妙なものなのだ。
■「期待するな。中国国民に情熱はない」と
丹羽氏は、都市と農村の経済格差、共産党幹部の腐敗、不動産価格の高騰などの問題を挙げ、「国民の不満が爆発して体制に深刻な打撃を与えかねない。ジャスミン革命のような動きが広がっていて中国の指導部は大変気にしている」と説明しながらも、「中国は二十年も一〇%以上の経済成長を続けており、今の生活を壊してまで政権を倒そうという情熱は国民にはない」と断じ、「『ジャスミン革命』が中国に起きる可能性は一般的にない」との見方を示したのだ。
そして「ジャスミン革命のようなことは中国では期待をされない方がいい」とも。
だが、あの国の社会情勢は、そういう簡単なものだろうか。もしやそれは中国政府のためにするリップサービス、あるいは宣伝代行ではないのか。
そう言えば丹羽氏は二月二十八日にも産経新聞などのインタビューに対し、「貧富の拡大も現実にあるが、中国政府は所得の配分を考える方向にかじを切ろうとしている」ことを挙げ、「革命」が発生する可能性を否定していたが、本当に中国政府には、国民の不満を緩和する力はあるのだろうか。
情勢はそれほど甘いものではないはずだ。
■五日間に一件の反抗事件―中国はすでに暴動大国
たとえば仏国営放送RFIの中国語ニュースは二月、こう伝えている。
―――中国では集会、請願、デモ行進、ストライキなどの群衆性事件は増加する一方で、〇五年発表の『社会青書』によると、九三年から〇三年の間、一万件から六万件に増加し、参加人数も三百七万人にまで達した。
―――その後中国政府は群衆性事件に関する数値を発表しなくなったが、国家行政学院公共行政教研室主任の竹立家氏は最近、「暸望東方周刊」(※新華社発行の週刊誌)の取材に対し、〇六年からの一〇年にかけ、群集性事件事件は倍増したことを明らかにした。具体的な数値は示さなかったが、『青書』にある数値や平均速度に照らすと、昨年は少なくとも十八万件に達している。
―――交通大学の「二〇一〇中国危機管理年度報告」によると、昨年の影響力が大きい事件は七十二件で、〇九年の六十件に比べて二割増であり、五日間に一件の割合で発生していることになる。
―――またそのうち、「司法・法執行」関連のものが一八・一%で、それらでは社会民主、腐敗、役人(およびその家族)の不当な言動などが問題になっていた。次いで「災害・事故」が一五・三%。発生地は二十九の省に及び、ほぼ中国全域をカバーする。なかでも河南、北京、湖北、広東で多発している。
―――そしてさらに明らかになったのは、昨年の影響力が大きい危機事件の情報は〇九年に比べ、伝播速度が上がっていることだ。三三%は事件発生当日に広まり、六七%はインターネット、とくに微博(中国版ツイッター)で発信された。
ここでいう「群集性事件」には多くの暴動が含まれているはずだ。当局の規制、弾圧下での反体制行動であるなら、そうした形に発展せざるを得ない場合が多いからである。
このような状況を見れば、中国がすでに経済大国、軍事大国であると同時に、「暴動大国」にもなっていることがわかるだろう。
■丹羽大使は中国政府の狼狽を本当に知らないのか
「今の生活を壊してまで政権を倒そうという情熱は国民にはない」と丹羽氏は言うが、実際には多くの中国国民は逮捕、投獄覚悟で体制に挑まざるを得なくなっているのである。
たしかに中国版ジャスミン革命は今のところ、不発に終わっているようだが、それはもちろん「情熱がない」ためだけではあるまい。まず第一に、当局が徹底弾圧の構えを見せているためである。
台湾の中正大学メディア学部の羅世宏主任は次のように指摘する。
「ある中国学者の分析によると、中国政府はインターネット審査や治安維持のため、国防予算に近い、あるいはそれを上回る金額を投入しているが、しかしそれでも安心できない。だから二度にわたるジャスミン革命では、事前に多くの人権運動家の行動を制限し、公安警察を動員して百人以上を逮捕した」と。
一党独裁の打倒を訴える民主化運動は、「中共の命を絶て」と呼びかけるものに等しく、しかもその力が侮れないからこそ、中共はそこまで脅え、反抗の根絶に全力を傾けているわけである。
ところが「革命」が中国に起きる可能性は「一般的にない」と強調したい丹羽氏は、中国政府のインターネットの取り締まりについて「やや過剰だ」とも言っている。
だがこの中国駐在の大使が、あの政府が政権維持のため、情報封鎖に必死にならざるを得ない状況に追い込まれていることを知らないはずはないだろう。
■中国外交部のメッセージとも重なる丹羽発言
そして中共がもう一つ恐れているのは、西側がそうした民主化要求を支持することである。
だから二月二十七日、「革命」の集会場所に指定された北京・王府井では、警官が海外メディアの記者らに暴行を加え、あるいは拘束したのだ。
この事件に抗議する海外メディアに対して外交部の姜瑜副報道局長は三月一日の定例記者会見で、「何も起きていないのに多くの記者が繁華街にたむろして、交通を妨害し正常な商業秩序に影響を与えた」と反論した。
つまり「何も起きていない。海外は干渉するな」と国際社会に向けてのメッセージであるわけだが、これは「ジャスミン革命の可能性はない。そのようなことは期待をされない方がいい」と言い切った丹羽氏の言葉と重なって聞こえないか。

王府井でのメディア取締りの光景。これでも「何も起きてい
ない」というか
ODAに関する主張もあるように、もし丹羽氏が中国の立場に立って発言する人物なら、中国の民主化運動に反対しても何の不思議もないのである。
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中国の尖閣を狙う動きは序幕に過ぎない。あの国の目標は沖縄全体であり、そしてその次が日本全体。したがって日本の選択肢は中国の属国になるか、それともそれを跳ね返すかの二つのみ。そのいずれをとるべきかを、このたび近未来日中戦争シュミレーションシリーズ最新作『日 中海上決戦―尖閣・沖縄侵攻を阻止せよ』を上梓した喜安幸夫氏に語っていただく。
■講師略歴(きやす・ゆきお)昭和19年中国天津市生まれ。昭和44~47年に台湾大学政治研究所に留学。平成4~17年まで『台湾週 報』編集長を務める。平成10年、『台湾の歴史』で第七回日本文芸家クラブ大賞ノンフィクション賞受賞。平成13年、第三十回池内祥三文 学奨励賞受賞。主な著作は、評論・研究部門では『台湾島抗日秘史』『アジアの反逆』など多数。小説では『日本中国開戦-激震襲う台湾海峡』『新日中戦争-尖閣諸 島を奪回せよ!!』『日中激戦2010-東シナ海艦隊決戦』のほか、時代小説も多数。日本文藝家協会、日本文芸家クラブ会員。日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム会員。
【日 時】3月19日(土)、午後6時15分~8時15分
【場 所】 文京シビックセンター4階 区民会議室 (ホール) ※3階会議室ではありません。
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【参加費】会員500円/一般1000円
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