鳩山「尖閣発言」と菅直人「所信演説」は危い対中「誤信号」
2010/06/12/Sat
■領土主権問題で真剣さがない民主党政権
五月二十七日の全国知事会議の席上、鳩山由紀夫首相(当時)が「(米国は尖閣諸島の)帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見出してもらいたいと言うことだと理解している」と述べたのは、領土問題への関心が希薄故の誤解に基づくものだったのか。それとも中国との間の摩擦回避を求める「友愛」精神が吐かせた嘘だったのか。

全国知事会議に現れた鳩山氏。やがてここで問題発言が
いずれにせよ、翌二十八日には岡田克也外相が記者会見で、「尖閣に領土問題はなく、(中国との)議論の余地はない」として、発言を修正している。
これについては「31日には中国の温家宝首相との首脳会談が予定されており、首相が同様の発言を繰り返さないようくぎを刺す必要があると判断したとみられる」(共同、二十八日)ともされるが、実は知事会には岡田氏も同席していた。
だから会見では「もう少し私からきちんと発言すべきだった」と反省するのだが、やはり民主党政権は領土主権に関して真剣さが欠如している。
外務省筋によれば「尖閣諸島の法的地位について、日本政府は一貫して議論の余地のない固有の領土との見解だ。鳩山発言を巡っては政府部内でも中国に誤った情報を伝えたかもしれないとの懸念の声がある」(共同―中国語、二十八日)と言うが、すでに発言は誤った信号となり、あの国に伝えられてしまっている。
■中国への誤信号となった鳩山「尖閣」発言
たとえば二十九日には香港の新報が「釣魚台日争議を巡り日本で内訌」と報じている。
―――温家宝総理は日本で鳩山首相と会見するが、それに先立ち鳩山氏と岡田外相との間では、釣魚台の主権問題を中国と話し合うべきかで意見が分かれた。岡田氏は公の場で鳩山氏に発言の訂正を求めるまでしている。
―――日本の「内訌」に対して中国の立場は固い。外交部スポークスマンは「釣魚台及び付属島嶼が古来中国固有の領土である。中国は議論の余地のない主権を擁している」と重ねて表明している。
同じく明報も三十日、「北京の学者:日本が主権問題で話し合いを希望したのは進歩だ」との記事を掲げ、中國外交学院国際関係研究所の周永生教授の談話を紹介している。
―――鳩山氏の態度は積極的な信号として、中国側の歓迎するところだ。
―――鳩山氏のこの談話は、この問題で両国は話し合いをすべきだと認めたに等しく、ある種の進歩だと言うことができる。
―――岡田氏は鳩山氏の言論を批判したが、それは自民党政権当時の柔軟性なき立場と一致するが、民主党政権の不協調問題を露呈させた。
「内訌」などとは権力闘争にまみれる中国のメディアらしい分析だ。今頃あの国は謀略を巡らしているところだろう。民主党政権内部への分断工作をいかに強化するかと。

「内訌」とは中国人らしい分析だ。分断謀略の機会をうかがっているのか
尖閣問題を日中間の議題にしさえすれば、あとはいつものように日本から譲歩を引き出すことができると楽観視しているはずだ。
■菅首相「所信表明演説」は矛盾胚胎の鳩山路線
ところで菅直人新首相は、この領土問題をどう捉えているのだろうか。
中国にとっての尖閣問題は、当初は周辺海域での海底資源の問題でもあったが(かつては大規模油田の存在の可能性が指摘されていた)、今では東支那海の制海権を握るための重大な軍事戦略問題となっている。あの諸島はこの海域支配を強化するために必要な要衝なのだ。
菅氏は六月十一日に行った初の所信表明演説で「現実主義を基調とした外交を推進すべきと考えております」とした上で、次のように語った。

「現実主義」の外交方針を打ち出した菅氏の所信演説だが
―――日米同盟は、日本の防衛のみならず、アジア・太平洋の安定と繁栄を支える国際的な共有財産だと考えてます。今後も同盟関係を着実に深化させます。
東支那海に面した沖縄での日米同盟の抑止力を度外視し、普天間基地移設問題を不必要に紛糾させて退陣した鳩山前首相の轍を踏むまいとの意思も滲んだ発言だ。
しかしその一方で同時にこうも言っているのだ。
―――アジアを中心とする近隣諸国とは、政治・経済・文化等のさまざまな面で関係を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していきます。中国とは戦略的互恵関係を深めます。
このくだりにこそ着目するべきだ。「東アジア共同体」とは鳩山氏が「東アジア地域での安定した経済協力と安全保障の枠組み」として構想してきたものだが、この中国主導とならざるを得ない安保の枠組みは、日米同盟とは相容れないものなのである。
演説の最後に「私を信頼していただきたい」と述べた菅氏だが、かつて「トラストミー」と訴えた鳩山氏と同様、この政治家の外交、安保の政策は、根本的な矛盾を胚胎している。
■東アジア共同体構想を継承する危うさ
将来において東アジア共同体が現出するとすれば、それへのプロセスとして先ず予測できるひとつは、中国が東アジアの要衝である台湾を併合し、もしくは勢力下に置いた後、東支那海、南支那海での支配権を確立し、さらには西太平洋へも軍事力を伸長させ、その勢力圏内に陥って首根っこを摑まれた日本が、中国の求めに応じて日米同盟を解消し、他の周辺諸国ともども「中国支配下の平和」の道を選ぶ、と言うものだろう。
また中国の侵攻から台湾を守るために出動する米軍への後方支援を拒否するなどで、米国から同盟を解消されると言った事態も考えられないことではない。
だから鳩山氏の「東支那海を友愛の海に」と言った、摩擦、紛争回避を最優先にした敗北主義的主張などは、東アジア共同体実現に向けてのものだったと言うことができる。
もちろん「友愛の海」を達成するには、沖縄の米軍基地が持つ対中抑止力は取り払わなければならなかった。
菅氏は「友愛」こそ口にはしなかったが、国家を危うくしてきた鳩山路線との異なりが見えないのだ。
産経新聞も十二日の「主張」欄(社説)で菅氏の所信演説を批判する。
―――「現実主義を基調とした外交を推進」に異論はないが、中国の軍事力増大をどう直視するかがポイントだろう。「中国とは戦略的互恵関係を深める」というだけでは、安全保障への認識は不十分と言わざるを得ない。
■中国の野心を増長させる民主党政権の敗北主義
そもそも「戦略的互恵関係」など、中国から見れば「中国支配下の平和」を達成するためのものなのだ。事実、あの国は両国間の最大懸案になっている東支那海問題で、日本に一切譲歩を見せていないばかりか、逆に一方的に制海権獲得に向けてひた走りしている。
日中間で合意した「平和、友好、協力の海」との目標にしても、日本が中国に対して「争わない、大人しくする、言いなりになる海」としか考えていないようだ。
このように菅氏もまた、中国の軍事的野心を増長させかねないメッセージを発信してしまったのである。
東支那海を手始めに、第二列島線まで勢力を拡張することを軍事戦略目標に掲げる中国が、これを聞き逃さないはずがない。
上海万博と言う国家イベントの閉幕後、いよいよ東支那海への膨張を強化すると見られる中国。尖閣諸島の占領にも乗り出すとの予測も多いが、ここまで中国に自信を与えるものには拡張一方の軍事力とともに、民主党政権の敗北主義姿勢があるのである。
一刻も早い自衛隊の派遣で、尖閣諸島防衛の意志を中国に対してはっきりと見せるべきである。自国の領土を守るため、いったい何の遠慮がいると言うのか。
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栃木・桜ゼミナール 「7.5 ウイグル虐殺の真実」
日時 平成22年6月13日(日) 14時00分
場所 護国会館 (栃木県護国神社 内)
内容 講師:イリハム・マハムティ(日本ウイグル協会会長)
「ウイグルの歴史と現状について」
参加費 500円
主催 日本文化チャンネル桜 二千人委員会 栃木県支部
メルマガ版「台湾は日本の生命線!」
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登録先・バックナンバー http://www.melma.com/backnumber_174014
五月二十七日の全国知事会議の席上、鳩山由紀夫首相(当時)が「(米国は尖閣諸島の)帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見出してもらいたいと言うことだと理解している」と述べたのは、領土問題への関心が希薄故の誤解に基づくものだったのか。それとも中国との間の摩擦回避を求める「友愛」精神が吐かせた嘘だったのか。

全国知事会議に現れた鳩山氏。やがてここで問題発言が
いずれにせよ、翌二十八日には岡田克也外相が記者会見で、「尖閣に領土問題はなく、(中国との)議論の余地はない」として、発言を修正している。
これについては「31日には中国の温家宝首相との首脳会談が予定されており、首相が同様の発言を繰り返さないようくぎを刺す必要があると判断したとみられる」(共同、二十八日)ともされるが、実は知事会には岡田氏も同席していた。
だから会見では「もう少し私からきちんと発言すべきだった」と反省するのだが、やはり民主党政権は領土主権に関して真剣さが欠如している。
外務省筋によれば「尖閣諸島の法的地位について、日本政府は一貫して議論の余地のない固有の領土との見解だ。鳩山発言を巡っては政府部内でも中国に誤った情報を伝えたかもしれないとの懸念の声がある」(共同―中国語、二十八日)と言うが、すでに発言は誤った信号となり、あの国に伝えられてしまっている。
■中国への誤信号となった鳩山「尖閣」発言
たとえば二十九日には香港の新報が「釣魚台日争議を巡り日本で内訌」と報じている。
―――温家宝総理は日本で鳩山首相と会見するが、それに先立ち鳩山氏と岡田外相との間では、釣魚台の主権問題を中国と話し合うべきかで意見が分かれた。岡田氏は公の場で鳩山氏に発言の訂正を求めるまでしている。
―――日本の「内訌」に対して中国の立場は固い。外交部スポークスマンは「釣魚台及び付属島嶼が古来中国固有の領土である。中国は議論の余地のない主権を擁している」と重ねて表明している。
同じく明報も三十日、「北京の学者:日本が主権問題で話し合いを希望したのは進歩だ」との記事を掲げ、中國外交学院国際関係研究所の周永生教授の談話を紹介している。
―――鳩山氏の態度は積極的な信号として、中国側の歓迎するところだ。
―――鳩山氏のこの談話は、この問題で両国は話し合いをすべきだと認めたに等しく、ある種の進歩だと言うことができる。
―――岡田氏は鳩山氏の言論を批判したが、それは自民党政権当時の柔軟性なき立場と一致するが、民主党政権の不協調問題を露呈させた。
「内訌」などとは権力闘争にまみれる中国のメディアらしい分析だ。今頃あの国は謀略を巡らしているところだろう。民主党政権内部への分断工作をいかに強化するかと。

「内訌」とは中国人らしい分析だ。分断謀略の機会をうかがっているのか
尖閣問題を日中間の議題にしさえすれば、あとはいつものように日本から譲歩を引き出すことができると楽観視しているはずだ。
■菅首相「所信表明演説」は矛盾胚胎の鳩山路線
ところで菅直人新首相は、この領土問題をどう捉えているのだろうか。
中国にとっての尖閣問題は、当初は周辺海域での海底資源の問題でもあったが(かつては大規模油田の存在の可能性が指摘されていた)、今では東支那海の制海権を握るための重大な軍事戦略問題となっている。あの諸島はこの海域支配を強化するために必要な要衝なのだ。
菅氏は六月十一日に行った初の所信表明演説で「現実主義を基調とした外交を推進すべきと考えております」とした上で、次のように語った。

「現実主義」の外交方針を打ち出した菅氏の所信演説だが
―――日米同盟は、日本の防衛のみならず、アジア・太平洋の安定と繁栄を支える国際的な共有財産だと考えてます。今後も同盟関係を着実に深化させます。
東支那海に面した沖縄での日米同盟の抑止力を度外視し、普天間基地移設問題を不必要に紛糾させて退陣した鳩山前首相の轍を踏むまいとの意思も滲んだ発言だ。
しかしその一方で同時にこうも言っているのだ。
―――アジアを中心とする近隣諸国とは、政治・経済・文化等のさまざまな面で関係を強化し、将来的には東アジア共同体を構想していきます。中国とは戦略的互恵関係を深めます。
このくだりにこそ着目するべきだ。「東アジア共同体」とは鳩山氏が「東アジア地域での安定した経済協力と安全保障の枠組み」として構想してきたものだが、この中国主導とならざるを得ない安保の枠組みは、日米同盟とは相容れないものなのである。
演説の最後に「私を信頼していただきたい」と述べた菅氏だが、かつて「トラストミー」と訴えた鳩山氏と同様、この政治家の外交、安保の政策は、根本的な矛盾を胚胎している。
■東アジア共同体構想を継承する危うさ
将来において東アジア共同体が現出するとすれば、それへのプロセスとして先ず予測できるひとつは、中国が東アジアの要衝である台湾を併合し、もしくは勢力下に置いた後、東支那海、南支那海での支配権を確立し、さらには西太平洋へも軍事力を伸長させ、その勢力圏内に陥って首根っこを摑まれた日本が、中国の求めに応じて日米同盟を解消し、他の周辺諸国ともども「中国支配下の平和」の道を選ぶ、と言うものだろう。
また中国の侵攻から台湾を守るために出動する米軍への後方支援を拒否するなどで、米国から同盟を解消されると言った事態も考えられないことではない。
だから鳩山氏の「東支那海を友愛の海に」と言った、摩擦、紛争回避を最優先にした敗北主義的主張などは、東アジア共同体実現に向けてのものだったと言うことができる。
もちろん「友愛の海」を達成するには、沖縄の米軍基地が持つ対中抑止力は取り払わなければならなかった。
菅氏は「友愛」こそ口にはしなかったが、国家を危うくしてきた鳩山路線との異なりが見えないのだ。
産経新聞も十二日の「主張」欄(社説)で菅氏の所信演説を批判する。
―――「現実主義を基調とした外交を推進」に異論はないが、中国の軍事力増大をどう直視するかがポイントだろう。「中国とは戦略的互恵関係を深める」というだけでは、安全保障への認識は不十分と言わざるを得ない。
■中国の野心を増長させる民主党政権の敗北主義
そもそも「戦略的互恵関係」など、中国から見れば「中国支配下の平和」を達成するためのものなのだ。事実、あの国は両国間の最大懸案になっている東支那海問題で、日本に一切譲歩を見せていないばかりか、逆に一方的に制海権獲得に向けてひた走りしている。
日中間で合意した「平和、友好、協力の海」との目標にしても、日本が中国に対して「争わない、大人しくする、言いなりになる海」としか考えていないようだ。
このように菅氏もまた、中国の軍事的野心を増長させかねないメッセージを発信してしまったのである。
東支那海を手始めに、第二列島線まで勢力を拡張することを軍事戦略目標に掲げる中国が、これを聞き逃さないはずがない。
上海万博と言う国家イベントの閉幕後、いよいよ東支那海への膨張を強化すると見られる中国。尖閣諸島の占領にも乗り出すとの予測も多いが、ここまで中国に自信を与えるものには拡張一方の軍事力とともに、民主党政権の敗北主義姿勢があるのである。
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