抗日史観拒否!台湾人の戦後七十周年
2015/06/09/Tue
■「慰安婦記念館」で中華民族主義の高揚を目指す国民党
中共にとり今年は「抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利七十周年」だが、台湾の国民党政権にとっては「抗日戦争及び台湾光復七十周年」。これを記念する活動を展開して行くという。
この「台湾光復」とは、台湾の敗戦した日本から中国への復帰を指す。一九四五年十月二十五日、連合国軍最高司令官の命を受けた中華民国軍が台湾を接収した際、不法にも台湾の領有を宣言したが、国民党はそれを正当化し、「光復」となどと呼ぶのである。そして今年は、中華民国の抗日勝利があって今日の台湾の繁栄がある」などとも宣伝したい訳だ。
すでに馬英九総統は六月三日、抗日勝利七十周年を記念する集会で、今年の光復記念日である十月二十五日に、慰安婦記念館を開設する意向を表明した。その際「私は反日葉ではない」とも強調しているが、それはこの施設の設置が日本との敵対を目的としていないという意味だ。

慰安婦記念館開設の意向を表明した馬英九総統。反日
宣伝で台湾人の思想改造を試みる
それには一理あるだろう。そもそもこうした政策は、何より第一に国内向けである。馬英九の最大の狙いは、反日という名の中華民族主義を煽り、民主化後に高揚する台湾人意識を中国人意識に切り替えさせることにある。
それから馬英九には、自らの中華民族主義を中共に見てもらおうと狙っている可能性もある。自分を中共に認めてもらい、中華民族史にその名を刻みたいとの願望が、この人物には強烈にあるとされる。
実際に台湾併呑を目指す中共も、こうした動きには熱い声援を送っている。なぜなら台湾での台湾人意識の高揚は、台湾併呑の大きな障害だからだ。
■大中国史観による台湾歴史教科書の「脱日本化」
中共が大きな期待を寄せるのはまだある。こうした台湾人の意識改造のため、馬英九政権はすでに高校の歴史教科書にも中華民族主義を反映させ、台湾史を強引に中国史の一環と位置付けようとしているのもそれだ。

国民党の歴史捏造教科書による洗脳教育の動きには全国の高校生も抗議の声を上げている
偏執的な中華民族主義の学者を集め、予定外の学習指導要領(課綱)を改定させ、野党、学者、教員、そして全国の高校生から激しい抗議の声にさらされながらも、今年九月の新学期からの導入を強行する構えである。
もちろん教科書には、抗日史観も取り入れられる。従来あった「慰安婦」の三文字も「婦女は強制的に慰安婦にされた」に変えるよう、課綱は指導している。
まさに教科書の脱台湾化、つまり中国化である。
だがそうした批判に対し、教育部(文科省)は「現行の教科書は台湾史と中国史をあまりにも切り離し、また日本統治期間をあまりにも美化して来た。現在の建設の基礎はすべて日本人が打ち立てたと言わんばかりだったが、課綱の調整後は台湾の主体性を強調することになる。だから脱台湾化などでは全くなく、少しだけ脱日本化を行うだけだ」(蔣偉寧教育部長、一四年一月)と説明する。
これまでの教科書は、日本時代に進行した台湾の近代化建設を史実として客観的に論述してきたが、それを「美化」と呼ぶのが、他ならぬ大中国史観というものなのだ。
■連合軍による空襲こそ台湾人の第二次大戦の記憶
だからこれに対し、著名な台湾史研究者である陳儀深・中央研究院近代史研究所副研究員は六月六日、次の如く反論している。
「馬英九政権は課綱の調整を『脱日本化』『台湾の主体性の向上』と説明するが、実際には『大中国意識の密航』(密かに大中国意識を注入する)を企てている」と。
それによると、たとえば「慰安婦」について、「従来の課綱では慰安婦を『志願』とはしていないにかかわらず、わざわざ蛇足で『強制』を書き添えさせた。つまり『慰安婦』を以って、その他の歴史の改竄を隠蔽したのだろう」という。
また課綱は、従来の台湾の「接収」を「光復」に改めるよう指導するが、陳儀深氏はこれもまた大中国史観注入の明らかな事例であると指摘する。
そしてその上で、「一九四五年五月三十一日の大空襲で三千人もの台北市民が死亡したように、戦時中は全台湾が熾烈な空襲を受けている。そして三万人もの台湾籍日本兵が戦場で死んでいる。こうしたことこそ台湾人にとっての第二次大戦の記憶である」と強調した。

戦時中台湾全土は連合軍の空襲に見舞われた。写真は1945年5月31の台北大空襲で破壊された台湾総督府。
この日の空襲で約3000人が死亡しているが、国民党はそうした台湾人の歴史には無関心だ
これまで国民党は、同党の中国における抗日の歴史は台湾人に対して絶えず宣伝し、教育してきたが、こうした台湾人独自の悲史については無視、隠蔽してきたのは、「抗日勝利」という国民党の栄光史(プロパガンダ)とは無縁だからである。
■なぜ台湾人が「抗日戦争勝利」を祝賀しなければならないか
そもそも大中国史観にとっては、中国史の一環とは言えない日本時代の台湾史など、抹殺、もしくは改竄の対象でしかないのである。
私のある台湾の友人はこう憤る。「国民党は彼らの抗戦勝利七十周年を祝賀するが、あの歴史は多くの台湾人には苦痛の烙印だ。当時米中は日本と戦い、台湾にも爆撃した。私の叔父も一九四五年、幼くして空襲で爆死している。なぜ台湾にいる中国人たちは我々の税金で、彼らが米帝の支援の下、我々を打ち負かした歴史を祝おうとするのか」と。
こうした歴史の見方を持つ台湾人は、まだまだ少数かも知れない。なぜなら、繰り返しになるが、当時の歴史は戦後、隠蔽され、忘却のかなたに追いやられて来たからだ。
だが我々日本国民まで、台湾人の戦時史に無知であってはならないだろう。なぜならあの時代の台湾人は、日本のために戦い、そして多くが犠牲になったのだから、それを忘れては民族の道義に反する。
そして、このかつての同胞の「主体性」を重んじ、それを損ねようと企てる国民党に反対しなければならないということも、戦後七十周年を機会に深く考えなくてはならない。
【過去の関連記事】
「反日」捏造が再び―台湾の歴史教科書が危機!(上) 14/01/30
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2294.html
日本統治の不法化は中国人化教育―台湾の歴史教科書が危機!(中)14/02/02
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2297.html
洗脳教育は台湾抹殺の前奏曲―台湾の歴史教科書が危機!(下)/附・「台湾チャンネル」関連解説動画
14/02/04
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2298.html
「日本統治」否定に見る台湾歴史教育「中国化」の蠢きー国民党の洗脳政策に高校生も反撥!15/06/04
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2573.html
戦う台湾の高校生!歴史教科書問題で国民党政権(中華民族主義)に立ち向かう 15/06/06
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2575.html
台湾紙で慰安婦の真実を訴えた (附:台湾チャンネル第84回動画)15/06/08
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2577.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓

モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
中共にとり今年は「抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利七十周年」だが、台湾の国民党政権にとっては「抗日戦争及び台湾光復七十周年」。これを記念する活動を展開して行くという。
この「台湾光復」とは、台湾の敗戦した日本から中国への復帰を指す。一九四五年十月二十五日、連合国軍最高司令官の命を受けた中華民国軍が台湾を接収した際、不法にも台湾の領有を宣言したが、国民党はそれを正当化し、「光復」となどと呼ぶのである。そして今年は、中華民国の抗日勝利があって今日の台湾の繁栄がある」などとも宣伝したい訳だ。
すでに馬英九総統は六月三日、抗日勝利七十周年を記念する集会で、今年の光復記念日である十月二十五日に、慰安婦記念館を開設する意向を表明した。その際「私は反日葉ではない」とも強調しているが、それはこの施設の設置が日本との敵対を目的としていないという意味だ。

慰安婦記念館開設の意向を表明した馬英九総統。反日
宣伝で台湾人の思想改造を試みる
それには一理あるだろう。そもそもこうした政策は、何より第一に国内向けである。馬英九の最大の狙いは、反日という名の中華民族主義を煽り、民主化後に高揚する台湾人意識を中国人意識に切り替えさせることにある。
それから馬英九には、自らの中華民族主義を中共に見てもらおうと狙っている可能性もある。自分を中共に認めてもらい、中華民族史にその名を刻みたいとの願望が、この人物には強烈にあるとされる。
実際に台湾併呑を目指す中共も、こうした動きには熱い声援を送っている。なぜなら台湾での台湾人意識の高揚は、台湾併呑の大きな障害だからだ。
■大中国史観による台湾歴史教科書の「脱日本化」
中共が大きな期待を寄せるのはまだある。こうした台湾人の意識改造のため、馬英九政権はすでに高校の歴史教科書にも中華民族主義を反映させ、台湾史を強引に中国史の一環と位置付けようとしているのもそれだ。

国民党の歴史捏造教科書による洗脳教育の動きには全国の高校生も抗議の声を上げている
偏執的な中華民族主義の学者を集め、予定外の学習指導要領(課綱)を改定させ、野党、学者、教員、そして全国の高校生から激しい抗議の声にさらされながらも、今年九月の新学期からの導入を強行する構えである。
もちろん教科書には、抗日史観も取り入れられる。従来あった「慰安婦」の三文字も「婦女は強制的に慰安婦にされた」に変えるよう、課綱は指導している。
まさに教科書の脱台湾化、つまり中国化である。
だがそうした批判に対し、教育部(文科省)は「現行の教科書は台湾史と中国史をあまりにも切り離し、また日本統治期間をあまりにも美化して来た。現在の建設の基礎はすべて日本人が打ち立てたと言わんばかりだったが、課綱の調整後は台湾の主体性を強調することになる。だから脱台湾化などでは全くなく、少しだけ脱日本化を行うだけだ」(蔣偉寧教育部長、一四年一月)と説明する。
これまでの教科書は、日本時代に進行した台湾の近代化建設を史実として客観的に論述してきたが、それを「美化」と呼ぶのが、他ならぬ大中国史観というものなのだ。
■連合軍による空襲こそ台湾人の第二次大戦の記憶
だからこれに対し、著名な台湾史研究者である陳儀深・中央研究院近代史研究所副研究員は六月六日、次の如く反論している。
「馬英九政権は課綱の調整を『脱日本化』『台湾の主体性の向上』と説明するが、実際には『大中国意識の密航』(密かに大中国意識を注入する)を企てている」と。
それによると、たとえば「慰安婦」について、「従来の課綱では慰安婦を『志願』とはしていないにかかわらず、わざわざ蛇足で『強制』を書き添えさせた。つまり『慰安婦』を以って、その他の歴史の改竄を隠蔽したのだろう」という。
また課綱は、従来の台湾の「接収」を「光復」に改めるよう指導するが、陳儀深氏はこれもまた大中国史観注入の明らかな事例であると指摘する。
そしてその上で、「一九四五年五月三十一日の大空襲で三千人もの台北市民が死亡したように、戦時中は全台湾が熾烈な空襲を受けている。そして三万人もの台湾籍日本兵が戦場で死んでいる。こうしたことこそ台湾人にとっての第二次大戦の記憶である」と強調した。

戦時中台湾全土は連合軍の空襲に見舞われた。写真は1945年5月31の台北大空襲で破壊された台湾総督府。
この日の空襲で約3000人が死亡しているが、国民党はそうした台湾人の歴史には無関心だ
これまで国民党は、同党の中国における抗日の歴史は台湾人に対して絶えず宣伝し、教育してきたが、こうした台湾人独自の悲史については無視、隠蔽してきたのは、「抗日勝利」という国民党の栄光史(プロパガンダ)とは無縁だからである。
■なぜ台湾人が「抗日戦争勝利」を祝賀しなければならないか
そもそも大中国史観にとっては、中国史の一環とは言えない日本時代の台湾史など、抹殺、もしくは改竄の対象でしかないのである。
私のある台湾の友人はこう憤る。「国民党は彼らの抗戦勝利七十周年を祝賀するが、あの歴史は多くの台湾人には苦痛の烙印だ。当時米中は日本と戦い、台湾にも爆撃した。私の叔父も一九四五年、幼くして空襲で爆死している。なぜ台湾にいる中国人たちは我々の税金で、彼らが米帝の支援の下、我々を打ち負かした歴史を祝おうとするのか」と。
こうした歴史の見方を持つ台湾人は、まだまだ少数かも知れない。なぜなら、繰り返しになるが、当時の歴史は戦後、隠蔽され、忘却のかなたに追いやられて来たからだ。
だが我々日本国民まで、台湾人の戦時史に無知であってはならないだろう。なぜならあの時代の台湾人は、日本のために戦い、そして多くが犠牲になったのだから、それを忘れては民族の道義に反する。
そして、このかつての同胞の「主体性」を重んじ、それを損ねようと企てる国民党に反対しなければならないということも、戦後七十周年を機会に深く考えなくてはならない。
【過去の関連記事】
「反日」捏造が再び―台湾の歴史教科書が危機!(上) 14/01/30
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2294.html
日本統治の不法化は中国人化教育―台湾の歴史教科書が危機!(中)14/02/02
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2297.html
洗脳教育は台湾抹殺の前奏曲―台湾の歴史教科書が危機!(下)/附・「台湾チャンネル」関連解説動画
14/02/04
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2298.html
「日本統治」否定に見る台湾歴史教育「中国化」の蠢きー国民党の洗脳政策に高校生も反撥!15/06/04
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2573.html
戦う台湾の高校生!歴史教科書問題で国民党政権(中華民族主義)に立ち向かう 15/06/06
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2575.html
台湾紙で慰安婦の真実を訴えた (附:台湾チャンネル第84回動画)15/06/08
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2577.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓

モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
スポンサーサイト