台湾が「抗日勝利70年」に冷淡な理由
2015/03/04/Wed
中国外交部は三月二日、「中国人民の抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利七十年の今年、軍事パレードを実施し、習近平主席など指導者と外国指導者が出席する」と発表したが、他方台湾では翌三日、国防部が「検討を重ねた結果、今年は軍事パレードを行わない」ことを明らかに。

台湾の国防部報道官。「抗日戦争勝利70周年」パレードの実施はないと
国防部は国民党議員らから勝利七十周年記念パレードの実施の提案が出たのを受け、検討に入っていた。朝日新聞によれば「第2次大戦終戦時に中国を統治していたのは国民党政権で、同政権はのちに共産党との内戦に敗れて台湾に逃れた。このため、台湾の一部には日本に勝ったのは国民党との思いが残って」いるという。
国防部もそれを念頭に、「中共がいかなる活動を行っても、国軍(中華民国軍)が抗日戦争に勝利したという事実は変わらない」とも強調した。一方産経新聞は事前に「国防部や野党・民主進歩党の間では慎重論も根強く、実現の見通しは定かでない」との見方を示していた。
こうした中国の愛国主義とは対照的な台湾側の姿勢に関し、中国メディアが興味深い分析を行っている。中共機関紙人民日報系の環球時報(電子版)が二月九日に配信の「台湾は抗戦に冷淡―多くが日本殖民を称賛し、中国アイデンティティがない」と題する論説がそれだ。
「島内は抗戦勝利七十周年には低トーン。記念活動を予定しているのは軍だけで、他の部門、機構は熱心ではなく、社会的な関心も言うに及ばない」と書いている。
もっともそれによれば、台湾も以前は違っていたらしい。たとえば、
―――教科書で抗戦勝利を「歴史的大事、国家の栄誉」と教え、小学生は記録映画「中国の怒吼」を見せられていた。当時は蒋介石、経国政権時代で、民衆一人一人も民族の光栄に酔っていた。
―――一九五〇年代から国民党は日本が台湾に残した痕跡を消し去るため、教育や大衆宣伝を通じて抗戦の記念していた。
―――抗戦勝利五十周年の時にも蒋緯国が三千万元を出し、テレビ局に記念番組を製作させ、また類似の番組も多く放映された。
ところが今では「そのような番組は見られない」というわけだ。それではなぜ、抗戦に「冷淡」になったのか。論説は次のように書いている。
―――李登輝、陳水扁政権時代に構築された台湾史は大陸とは別の国の歴史で、こうした物が教科書に記載された。国民党は外来政権と位置付けられ、大陸での抗戦の功労は認められなかった。
―――抗戦勝利六十周年の時、陳水扁は「抗戦勝利」を「終戦」と呼んだ。日本人の用語と同じである
―――中国社会科学院台湾研究所の王建民研究員は「台湾島内で抗戦記念が重視されなくなりつつあるが、意外ではない。この二十数年間の政治生態に重大な変化が生じたため(※民主化、台湾化を指す)、人々は中華民族としての感情が弱くなり、歴史の記憶や意識、観念は曖昧になるばかり」と述べる。
―――王建民は「台湾の台独化、脱中国化教育のため、多くの人が正確な歴史価値観を失った。中華民族の統一抗戦の概念がないばかりか、逆に日本の殖民統治を称賛している。こうした転覆性の変化は非常に残念」と話している。
―――「旺報」の黄清龍社長は「日本殖民五十年の歴史は、一部の台湾人にある種の情感をもたらした。多くの人は台湾と日本に共通の価値観があると見ている。台湾経済の発展も日本との関係は密接。そのため台湾で高らかに抗日を記念すれば、あまりに唐突と受け取られる。人々は生活の質に関心があるのであり、歴史の重しなどは負いたくない」と話す。
王建民は中国人で黄清龍は台湾人だが、両者の分析を比較すると面白い。台湾社会の現状を黄が客観的に説明するのに対し、王は中国独特の民族主義的、政治的な解釈を加えている。
以上のように台湾が、中国にとっては「非常に残念」な状況にある中、注目されるのが中国の軍事パレードに国民党から出席があるか否かだ。
香港紙文匯報(電子版)は三日、「昨年来、大陸の関連部門は台湾側への招待の作業を開始している。国民党の朱立倫主席がそれに応じるかに各界は注目している」と報じた上で、次の王建民のコメントを紹介している。
「両岸(※台湾と中国)が共に参与することは双方にとり、信頼、協力の強化、そして共通の歴史観を強化する重要なチャンスとなろう」
中国はかねてから、台湾統一の前提となる国共合作の強化を呼び掛けるに際し、「抗日戦争の勝利」を双方が共有する歴史的栄光として強調している。今日に続く国共の関係改善が本格化した二〇〇五年は抗戦勝利六十周年にあたったが、当時は胡錦濤が、中共として初めて抗戦で正面の戦場で戦ったのは国民党軍だと認め、注目された。
したがって台湾の将来のため、朱立倫は抗日パレードには出席しないことだ。台湾の有権者も多くは、それには反対するはずである。
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台湾の国防部報道官。「抗日戦争勝利70周年」パレードの実施はないと
国防部は国民党議員らから勝利七十周年記念パレードの実施の提案が出たのを受け、検討に入っていた。朝日新聞によれば「第2次大戦終戦時に中国を統治していたのは国民党政権で、同政権はのちに共産党との内戦に敗れて台湾に逃れた。このため、台湾の一部には日本に勝ったのは国民党との思いが残って」いるという。
国防部もそれを念頭に、「中共がいかなる活動を行っても、国軍(中華民国軍)が抗日戦争に勝利したという事実は変わらない」とも強調した。一方産経新聞は事前に「国防部や野党・民主進歩党の間では慎重論も根強く、実現の見通しは定かでない」との見方を示していた。
こうした中国の愛国主義とは対照的な台湾側の姿勢に関し、中国メディアが興味深い分析を行っている。中共機関紙人民日報系の環球時報(電子版)が二月九日に配信の「台湾は抗戦に冷淡―多くが日本殖民を称賛し、中国アイデンティティがない」と題する論説がそれだ。
「島内は抗戦勝利七十周年には低トーン。記念活動を予定しているのは軍だけで、他の部門、機構は熱心ではなく、社会的な関心も言うに及ばない」と書いている。
もっともそれによれば、台湾も以前は違っていたらしい。たとえば、
―――教科書で抗戦勝利を「歴史的大事、国家の栄誉」と教え、小学生は記録映画「中国の怒吼」を見せられていた。当時は蒋介石、経国政権時代で、民衆一人一人も民族の光栄に酔っていた。
―――一九五〇年代から国民党は日本が台湾に残した痕跡を消し去るため、教育や大衆宣伝を通じて抗戦の記念していた。
―――抗戦勝利五十周年の時にも蒋緯国が三千万元を出し、テレビ局に記念番組を製作させ、また類似の番組も多く放映された。
ところが今では「そのような番組は見られない」というわけだ。それではなぜ、抗戦に「冷淡」になったのか。論説は次のように書いている。
―――李登輝、陳水扁政権時代に構築された台湾史は大陸とは別の国の歴史で、こうした物が教科書に記載された。国民党は外来政権と位置付けられ、大陸での抗戦の功労は認められなかった。
―――抗戦勝利六十周年の時、陳水扁は「抗戦勝利」を「終戦」と呼んだ。日本人の用語と同じである
―――中国社会科学院台湾研究所の王建民研究員は「台湾島内で抗戦記念が重視されなくなりつつあるが、意外ではない。この二十数年間の政治生態に重大な変化が生じたため(※民主化、台湾化を指す)、人々は中華民族としての感情が弱くなり、歴史の記憶や意識、観念は曖昧になるばかり」と述べる。
―――王建民は「台湾の台独化、脱中国化教育のため、多くの人が正確な歴史価値観を失った。中華民族の統一抗戦の概念がないばかりか、逆に日本の殖民統治を称賛している。こうした転覆性の変化は非常に残念」と話している。
―――「旺報」の黄清龍社長は「日本殖民五十年の歴史は、一部の台湾人にある種の情感をもたらした。多くの人は台湾と日本に共通の価値観があると見ている。台湾経済の発展も日本との関係は密接。そのため台湾で高らかに抗日を記念すれば、あまりに唐突と受け取られる。人々は生活の質に関心があるのであり、歴史の重しなどは負いたくない」と話す。
王建民は中国人で黄清龍は台湾人だが、両者の分析を比較すると面白い。台湾社会の現状を黄が客観的に説明するのに対し、王は中国独特の民族主義的、政治的な解釈を加えている。
以上のように台湾が、中国にとっては「非常に残念」な状況にある中、注目されるのが中国の軍事パレードに国民党から出席があるか否かだ。
香港紙文匯報(電子版)は三日、「昨年来、大陸の関連部門は台湾側への招待の作業を開始している。国民党の朱立倫主席がそれに応じるかに各界は注目している」と報じた上で、次の王建民のコメントを紹介している。
「両岸(※台湾と中国)が共に参与することは双方にとり、信頼、協力の強化、そして共通の歴史観を強化する重要なチャンスとなろう」
中国はかねてから、台湾統一の前提となる国共合作の強化を呼び掛けるに際し、「抗日戦争の勝利」を双方が共有する歴史的栄光として強調している。今日に続く国共の関係改善が本格化した二〇〇五年は抗戦勝利六十周年にあたったが、当時は胡錦濤が、中共として初めて抗戦で正面の戦場で戦ったのは国民党軍だと認め、注目された。
したがって台湾の将来のため、朱立倫は抗日パレードには出席しないことだ。台湾の有権者も多くは、それには反対するはずである。
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