日中合意文書は日本外交の敗北―ヤクザ国家に足元を見られ
2014/11/08/Sat
■尖閣諸島問題を巡る日中合意とは
安倍晋三首相と中国の習近平主席による日中首脳会談が、十一月十日から北京で開かれるAPEC首脳会議に合わせて行われることが決まった。
これまで中国側は首脳会談の前提条件として「尖閣諸島について領土問題の存在を認めること」と「首相が靖国神社の不参拝を確約すること」を上げて譲らず、他方日本側は前提条件なしの首脳会談の開催を求めて対立していたが、両国は七日になり、双方が折り合うための合意文書を発表した。

文書の表題は「日中関係の改善に向けた話し合いについて」。そこには「日中関係の改善に向け、これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが、今般、以下の諸点につき意見の一致をみた」として、次の四点を挙げている。
「1、双方は、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し、日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した」
「2、双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」
「3、双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた」
「4、双方は、様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して、政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた」
「靖国神社参拝の確約」という条件は取り下げられたようだが、それでは「尖閣諸島について領土問題の存在を認めること」との条件はどうか。
■日本は一方的に妥協を強いられただけ
日中双方は「尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐ」ことで「意見の一致をみた」というが、これについて読売新聞は八日の社説で次のように評価した。
―――東シナ海の緊張関係について「異なる見解」があるとしたことは、「領土問題は存在しない」とする日本の従来の立場を損ねるものではない。日本の主張を堅持しつつ、中国との妥協点を見いだしたことは前向きに評価できる。
わざわざ「日本の従来の立場を損ねるものではない」と強調しなければならないほど、「損ねる」ものであるように見えるわけだ。「中国との妥協点を見いだした」とも書いているように、実際には中国により、一方的に「妥協」を引き出されたようだ。
注意しなければならないのは、中国はここにおいて何の「妥協」もしていないということなのだ。むしろ日本側に「領土問題の存在を認め」させるため、歩を一歩進めることに成功しているのである。
■日本の譲歩ばかりが際立つ文書
その一方で香港紙、信報財経新聞は七日、中国の専門家の間で次の二種類の分析が見られるとと伝える。
―――「近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有している」という言葉を言い換えれば、釣魚島の帰属問題の対立問題にまで触れることができなかったということだ。そのため日本が妥協したということはできず、せいぜい双方が緊張の緩和への階段を探したと言ったところだろう。
―――これまで双方の争議の焦点は釣魚島の帰属問題。今双方が、特に日本が「異なる見解」があることを認めたのだから、従来争議があることを認めないで来たことに照らせば、日本側が妥協を示したということになる。
前者の意見は読売新聞と軌を一にしている。つまり日本は従来の立場を変えなかったという見方である。
それでは後者はどうか。論理的には誤った分析と言える。なぜなら今回日本側が認めた「異なる見解」とは、あくまでも尖閣諸島の領有権に対してではなく、「緊張状態が生じていること」についてだからだ。
しかしそうした細かな理屈をいったいどれほどの人間が気づくだろう。今回の合意文書を一見すると、どうしても日本側が妥協、譲歩したかの印象を受けざるを得ないのである。
■ヤクザの書かされた証文と同じ
少なくとも中国は今後、この合意文書を高々と掲げ、日本が譲歩し、中国の領有権の主張に一定の理解を示したとの印象操作を行って、中国国民を満足させ、米国を含む国際社会を惑わし、そして日本に対して更なる譲歩を迫ってくるはずだ。
そもそも中国側が首脳会談実現に向けた合意の文書を認めさせること自体が外交上異常である。しかし異常ではあるが、これが中国常套の外交上の手口なのである。それはヤクザが開いてから利益を吸い取るためにサインを強要した証文のようなものだのだ。
すでに中国の国営通信、中国新聞社は七日、早くも次のような宣伝を展開している。
―――今回双方が四点で合意したことは、日本側が「会談に前提条件を設けない」との従来の願望の放棄を意味し、また日本の一部の人々が長期間歴史の直視を拒み、釣魚島に関して争議はないとするような硬直した態度に対する自己否定をも意味する。
今回の合意文書は中国側に、日本には甚だ不利な捏造宣伝の口実を与えてしまったわけだ。日本政府が「我々が(尖閣で)領土問題があることを認めたわけではない。日本の姿勢は全く変わらない」(石破茂地方創生相)といかに強調しても、かの中国の対外宣伝力には簡単に打ち消されそうだ。
■外交勝利を祝う中国メディア
実は毎日新聞は十月十六日の段階で、次のように報じていた。
そうしたなか、十月十六日の毎日新聞が気になる報道を行った。
―――政府が日中首脳会談の実現に向け、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題について、日中双方の立場を確認したうえで、両政府間の話し合いで解決するとの案を中国側に提示し、調整に入っていることが明らかになった。
―――複数の政府関係者によると、首相が会談の際に(1)尖閣は日本固有の領土である(2)ただ、中国が独自の主張をしていることは承知している(3)時間をかけ対話による解決を目指す−−と表明することで、膠着状況を打開できないか打診している。
―――しかし、共同声明などの文書には残さない方針。中国側にも、日本側が対話のテーブルにつくことが担保できれば受け入れられるとの考えがあるという。
結果から見て、以上の報道は事実だったようだ。
要するに日中間の緊張関係に耐えられなくなった日本政府が中国との妥協を急ぎ、「領土問題は存在しない」との姿勢を玉虫色に変える意向を中国側に申し出たところ、ヤクザの如き中国にその足元を見られ、「日本側の考えを文書にしろ」と強要されたため、それを呑んだ結果発表されたのが、今回の合意文書と言ったところではないのか。
読売が「日本の従来の立場を損ねるものではない。……前向きに評価できる」と書いたのと同じ八日、中国の新聞各紙は一面トップで、今回の四つの合意を讃えている。要するに中国の外交勝利を祝っている。

外交勝利を祝う中国各紙
このように中国はあまりにも狡猾だが、その狡猾さに騙されていることにいつまでも気づかない日本は、あまりにも愚かで危うい。
【過去の関連記事】
「尖閣」で安倍首相は僅かな妥協も禁物!-知るべき中国の宣伝の手口 14/10/21
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2444.html
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11月9日、南モンゴルに自由を!中国大使館前抗議活動
日時 平成26年11月9日(日)14時30分 集合 15時00分 抗議開始
場所 東京都港区麻布税務署前
呼びかけ人
ウリゲン(モンゴル仏教会)
090-3895-5688 E-Mail crsps636@yahoo.co.jp
オルホノド・ダイチン(南モンゴル自由民主運動基金モンゴル自由連盟党)
090-6237-2104 E-Mail daichin1966@gmail.com
安倍晋三首相と中国の習近平主席による日中首脳会談が、十一月十日から北京で開かれるAPEC首脳会議に合わせて行われることが決まった。
これまで中国側は首脳会談の前提条件として「尖閣諸島について領土問題の存在を認めること」と「首相が靖国神社の不参拝を確約すること」を上げて譲らず、他方日本側は前提条件なしの首脳会談の開催を求めて対立していたが、両国は七日になり、双方が折り合うための合意文書を発表した。

文書の表題は「日中関係の改善に向けた話し合いについて」。そこには「日中関係の改善に向け、これまで両国政府間で静かな話し合いを続けてきたが、今般、以下の諸点につき意見の一致をみた」として、次の四点を挙げている。
「1、双方は、日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し、日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した」
「2、双方は、歴史を直視し、未来に向かうという精神に従い、両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた」
「3、双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた」
「4、双方は、様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して、政治・外交・安保対話を徐々に再開し、政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた」
「靖国神社参拝の確約」という条件は取り下げられたようだが、それでは「尖閣諸島について領土問題の存在を認めること」との条件はどうか。
■日本は一方的に妥協を強いられただけ
日中双方は「尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐ」ことで「意見の一致をみた」というが、これについて読売新聞は八日の社説で次のように評価した。
―――東シナ海の緊張関係について「異なる見解」があるとしたことは、「領土問題は存在しない」とする日本の従来の立場を損ねるものではない。日本の主張を堅持しつつ、中国との妥協点を見いだしたことは前向きに評価できる。
わざわざ「日本の従来の立場を損ねるものではない」と強調しなければならないほど、「損ねる」ものであるように見えるわけだ。「中国との妥協点を見いだした」とも書いているように、実際には中国により、一方的に「妥協」を引き出されたようだ。
注意しなければならないのは、中国はここにおいて何の「妥協」もしていないということなのだ。むしろ日本側に「領土問題の存在を認め」させるため、歩を一歩進めることに成功しているのである。
■日本の譲歩ばかりが際立つ文書
その一方で香港紙、信報財経新聞は七日、中国の専門家の間で次の二種類の分析が見られるとと伝える。
―――「近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有している」という言葉を言い換えれば、釣魚島の帰属問題の対立問題にまで触れることができなかったということだ。そのため日本が妥協したということはできず、せいぜい双方が緊張の緩和への階段を探したと言ったところだろう。
―――これまで双方の争議の焦点は釣魚島の帰属問題。今双方が、特に日本が「異なる見解」があることを認めたのだから、従来争議があることを認めないで来たことに照らせば、日本側が妥協を示したということになる。
前者の意見は読売新聞と軌を一にしている。つまり日本は従来の立場を変えなかったという見方である。
それでは後者はどうか。論理的には誤った分析と言える。なぜなら今回日本側が認めた「異なる見解」とは、あくまでも尖閣諸島の領有権に対してではなく、「緊張状態が生じていること」についてだからだ。
しかしそうした細かな理屈をいったいどれほどの人間が気づくだろう。今回の合意文書を一見すると、どうしても日本側が妥協、譲歩したかの印象を受けざるを得ないのである。
■ヤクザの書かされた証文と同じ
少なくとも中国は今後、この合意文書を高々と掲げ、日本が譲歩し、中国の領有権の主張に一定の理解を示したとの印象操作を行って、中国国民を満足させ、米国を含む国際社会を惑わし、そして日本に対して更なる譲歩を迫ってくるはずだ。
そもそも中国側が首脳会談実現に向けた合意の文書を認めさせること自体が外交上異常である。しかし異常ではあるが、これが中国常套の外交上の手口なのである。それはヤクザが開いてから利益を吸い取るためにサインを強要した証文のようなものだのだ。
すでに中国の国営通信、中国新聞社は七日、早くも次のような宣伝を展開している。
―――今回双方が四点で合意したことは、日本側が「会談に前提条件を設けない」との従来の願望の放棄を意味し、また日本の一部の人々が長期間歴史の直視を拒み、釣魚島に関して争議はないとするような硬直した態度に対する自己否定をも意味する。
今回の合意文書は中国側に、日本には甚だ不利な捏造宣伝の口実を与えてしまったわけだ。日本政府が「我々が(尖閣で)領土問題があることを認めたわけではない。日本の姿勢は全く変わらない」(石破茂地方創生相)といかに強調しても、かの中国の対外宣伝力には簡単に打ち消されそうだ。
■外交勝利を祝う中国メディア
実は毎日新聞は十月十六日の段階で、次のように報じていた。
そうしたなか、十月十六日の毎日新聞が気になる報道を行った。
―――政府が日中首脳会談の実現に向け、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題について、日中双方の立場を確認したうえで、両政府間の話し合いで解決するとの案を中国側に提示し、調整に入っていることが明らかになった。
―――複数の政府関係者によると、首相が会談の際に(1)尖閣は日本固有の領土である(2)ただ、中国が独自の主張をしていることは承知している(3)時間をかけ対話による解決を目指す−−と表明することで、膠着状況を打開できないか打診している。
―――しかし、共同声明などの文書には残さない方針。中国側にも、日本側が対話のテーブルにつくことが担保できれば受け入れられるとの考えがあるという。
結果から見て、以上の報道は事実だったようだ。
要するに日中間の緊張関係に耐えられなくなった日本政府が中国との妥協を急ぎ、「領土問題は存在しない」との姿勢を玉虫色に変える意向を中国側に申し出たところ、ヤクザの如き中国にその足元を見られ、「日本側の考えを文書にしろ」と強要されたため、それを呑んだ結果発表されたのが、今回の合意文書と言ったところではないのか。
読売が「日本の従来の立場を損ねるものではない。……前向きに評価できる」と書いたのと同じ八日、中国の新聞各紙は一面トップで、今回の四つの合意を讃えている。要するに中国の外交勝利を祝っている。

外交勝利を祝う中国各紙
このように中国はあまりにも狡猾だが、その狡猾さに騙されていることにいつまでも気づかない日本は、あまりにも愚かで危うい。
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「尖閣」で安倍首相は僅かな妥協も禁物!-知るべき中国の宣伝の手口 14/10/21
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11月9日、南モンゴルに自由を!中国大使館前抗議活動
日時 平成26年11月9日(日)14時30分 集合 15時00分 抗議開始
場所 東京都港区麻布税務署前
呼びかけ人
ウリゲン(モンゴル仏教会)
090-3895-5688 E-Mail crsps636@yahoo.co.jp
オルホノド・ダイチン(南モンゴル自由民主運動基金モンゴル自由連盟党)
090-6237-2104 E-Mail daichin1966@gmail.com
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