殖民地支配下で進化した台湾と香港が許せない中華民族主義
2019/11/02/Sat
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本稿は6月27日、「やまと新聞」で掲載された拙稿(原題は「民主主義を知る台湾と香港は中共の攻撃を受ける宿命」)に若干加筆したものである。
■香港で失敗の「一国二制度」を国民党は受け入れたいか
中国の香港への一国二制度の保証などまやかしだ、と世界に思い知らせたのが、香港政府が進めた「逃亡犯条例」改正問題に端を発した目下の香港情勢である。香港政府に対する香港人の激しい反対運動には世界から支持の声が上がり、中でも台湾では多くの人々が、我が事のように運動の推移が見守っている。当然だろう。この一国二制度とは元来、「統一」(併呑)後の台湾に適用すべく構想され、先ずはそのモデルケース作りのため、香港に適用されたようなものだからだ。
かくして「一国二制度などに断じて騙されてはならない」との思いを台湾の人々が新たにした最中の6月中旬、中国福建省のアモイでは、同国政府が主催する毎年恒例の台中交流イベント、海峡フォーラムが開催された。台湾からは国民党の曽永賢副主席や複数の地方自治体首長らが参加。主催者である汪洋・全国政協主席(中共党序列第4位)から、「一国二制度こそ台湾にとり最良の制度だ」などと教え諭す講話を、曽副主席らは黙って拝聴したものと思われる。
なぜなら中共と国民党はすでに主従関係にあると言って過言ではないからだ。こういった国共交流の場で国民党は、中共には楯突かないのが通例である。少なくとも報道によれば、曽副主席が「共に台独に反対しよう」と応じたのは確かだ。

拍手を交わす汪洋・全国政協主席(右)と曽永賢国民党副主席。国民党はすでに中共に従属し
ていると言える
実は「台独に反対する」は国共間の合言葉でもあるが、ちなみにこの台独(台湾独立)とは何か。それは台湾が中華民国体制を止めて台湾国を建国することだが、中国から見れば、そう言ったことも含め、「統一」を拒絶すること自体が「台独」だ。台湾は中国領土でないのだから、中国からの独立ということはあり得ないのだが、中国政府は「中国内戦の継続と外部勢力の干渉により、海峡両岸は長期にわたる政治対立という特殊状態」(1月2日の習近平主席の対台湾談話)に陥ってはいるが、中国の主権は台湾に及んでいるなどと、あまりにも身勝手な「一つの中国」宣伝で世界を騙している。そして国民党はその宣伝に付き従てしまっているという状況だ。
■中国人が憎悪する「台独」と「港独」
そしてこれら中国人にとり、この「台独」の二文字には「漢奸」(外国と通じる漢民族内部の裏切り者)と同等の意味も込められており、このレッテルを張られた台湾人は、中国人から「千古の罪人」と罵られ、死んでも憎悪されることを覚悟しなければならない。
要するに、中国人に根深い中華思想(華夷思想)に基づけば、優秀なる漢民族が世界の中心を占め、その周辺に文化的に劣る諸民族が存在するとなる訳だが、漢民族でありながら漢民族であるのを忘れ、卑しい異民族と結託し、中華に弓引く「漢奸」(例えば金と講和した秦檜や日本と和平を結んだ汪精衛)や、「台独」(米国の庇護の下で中国に対抗)は、断じて許すことのできない存在となるのである。
習近平主席が中国の武力について「ごく少数の台独分子とその活動に向けたもので、断じて台湾同胞に向けるものではない」(1月2日の対台湾談話)と強調したのにも、そうした民族主義的な憎悪の反映に他ならない。

習近平主席の対台湾談話は、「統一」を拒否する台湾人への憎悪に満ちたものだった
そして現在、香港政府に抵抗する香港人もまた、中国人から見れば民主主義という外国の反中国思想にかぶれ、中国支配を嫌って激しく抵抗する「港独」(香港独立)分子であり、いつの日か必ず弾圧、粛清するべき民族の裏切り者ということになる。

民主主義を求める香港の人々は、中共から見れば断固粛清すべき民族の裏切り者だ
■中国人が中国を嫌うのは外国の陰謀か
そしてそうした中国人の台湾人、あるいは香港人に対する激しくも歪んだ憎悪は、この海峡フォーラム席上においても遺憾なく披露されている。それは全国政協の香港地区代表を務める凌友詩という人物による講演においてだ。この女性は香港での反中闘争への批判を展開し、次のように語っている。
「香港は155年の殖民地統治を受けたため、多くの人は殖民地意識を植え付けられている。つまり中国を敵視し、差別する白人の意識をだ。これは台湾で見られる日本皇民意識による中国への敵視、差別と同じだ。現在の港独、台独はこうした意識なのだ。一般の善良で無知な人々とは異なる」
中国人が中国政府を嫌うのは、中国政府の問題ではなく外国の陰謀ためであるとするのが中華民族主義特有の主張だが、まさにここではそれが反映されている。
さて、ここでいう「日本皇民」とは何かだが、最初に台湾人を「皇民」と呼んだのは国民党だ。
終戦直後に台湾を占領した同党は、日本統治下の皇民化運動(台湾人の近代国民化運動)で近代文明を身に付け、前近代的な中国人支配者を批判する台湾の民衆の姿に驚愕した。なぜなら中国にとり庶民とは、権力者には従順な愚民であるのが当然だ。台湾は日本統治を受ける以前は清国の支配を受けていたため、台湾人もまた中国愚民であるはずだと思い込んでいたのだろうが、豈図らんや人々は文字を読み、先進的な知識を持ち、遵法の精神まで身に付けているではないか。
かくて国民党は、台湾では中国伝統の人治主義は通用しないと悟った。無論彼らは、台湾人の文明的先進性に脅威を感じた。そこで台湾人が「中国を敵視し、差別する」のは、日本の「奴隷化教育」の悪影響だと見做し、台湾人を見下し、そして迫害、殺戮も行った。
■普遍的価値に基づく香港、台湾支援を
こうした残忍な中国の政治文化に触れるたびに台湾人は、当時から今日に至るまで、無論中国人から離れようとするわけだが、中国人を世界で最も優れた民族との信念を捨てることのできない国民党は、あるいは中共は、それを奴隷根性=皇民思想に染まった台湾人による中国への反逆と受け止め、断じて自らの暴虐を反省することはない。「死不認罪」(死んでも非を認めない)の民族だから、当然そのようになる。
香港人もまた同じことだ。英国統治下で民主主義を知り、もはや中共の愚民たり得ない彼らは、その弾圧の対象となる以外にないのである。
台湾人や香港人は「殖民地」支配を通じて中国愚民の域を脱し、民主、自由、法の支配、そして人権といった普遍的価値の尊さを知るに至った。そしてそれ故にこそ、そうした先進性に脅威を抱く中共が、力尽くで香港を、そして台湾を抑え込もうとしているのである。かくして将来において懸念されるのが、香港人の浄化であり、台湾侵略だ。
世界はこれをどう見るべきか。人類の普遍的価値というものは、人類全体が守っていかなければならないものである。そういった観点から香港問題、台湾問題を考えなくてはならない。
さて、すでに中共に従属している国民党だが、同党は来年の台湾総統選挙で政権奪還を成し遂げかねない勢いだ。そもそも同党が中共と提携を深めた動機は2000年以降、台湾人の政治勢力である民進党が政権を獲得したことにあった。つまり国共両党とも反「台独」で一致したわけである。
もしその国民党が政権を奪えば、不倶戴天の「台独」の息の根を止めんと、台湾の島を中共に献上しようとするのではないか。少なくとも中共は、何よりそうした「平和統一」に期待をかけ、国民党支援に乗り出している。

総統選挙で国民党から出馬予定の韓国瑜高雄市長。もし国民党が政権を奪取すれば、台湾は更に中国の影響下へと転落しかねない
こうしたことに対する危機感もまた、世界は共有すべきだと考えている。
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■香港で失敗の「一国二制度」を国民党は受け入れたいか
中国の香港への一国二制度の保証などまやかしだ、と世界に思い知らせたのが、香港政府が進めた「逃亡犯条例」改正問題に端を発した目下の香港情勢である。香港政府に対する香港人の激しい反対運動には世界から支持の声が上がり、中でも台湾では多くの人々が、我が事のように運動の推移が見守っている。当然だろう。この一国二制度とは元来、「統一」(併呑)後の台湾に適用すべく構想され、先ずはそのモデルケース作りのため、香港に適用されたようなものだからだ。
かくして「一国二制度などに断じて騙されてはならない」との思いを台湾の人々が新たにした最中の6月中旬、中国福建省のアモイでは、同国政府が主催する毎年恒例の台中交流イベント、海峡フォーラムが開催された。台湾からは国民党の曽永賢副主席や複数の地方自治体首長らが参加。主催者である汪洋・全国政協主席(中共党序列第4位)から、「一国二制度こそ台湾にとり最良の制度だ」などと教え諭す講話を、曽副主席らは黙って拝聴したものと思われる。
なぜなら中共と国民党はすでに主従関係にあると言って過言ではないからだ。こういった国共交流の場で国民党は、中共には楯突かないのが通例である。少なくとも報道によれば、曽副主席が「共に台独に反対しよう」と応じたのは確かだ。

拍手を交わす汪洋・全国政協主席(右)と曽永賢国民党副主席。国民党はすでに中共に従属し
ていると言える
実は「台独に反対する」は国共間の合言葉でもあるが、ちなみにこの台独(台湾独立)とは何か。それは台湾が中華民国体制を止めて台湾国を建国することだが、中国から見れば、そう言ったことも含め、「統一」を拒絶すること自体が「台独」だ。台湾は中国領土でないのだから、中国からの独立ということはあり得ないのだが、中国政府は「中国内戦の継続と外部勢力の干渉により、海峡両岸は長期にわたる政治対立という特殊状態」(1月2日の習近平主席の対台湾談話)に陥ってはいるが、中国の主権は台湾に及んでいるなどと、あまりにも身勝手な「一つの中国」宣伝で世界を騙している。そして国民党はその宣伝に付き従てしまっているという状況だ。
■中国人が憎悪する「台独」と「港独」
そしてこれら中国人にとり、この「台独」の二文字には「漢奸」(外国と通じる漢民族内部の裏切り者)と同等の意味も込められており、このレッテルを張られた台湾人は、中国人から「千古の罪人」と罵られ、死んでも憎悪されることを覚悟しなければならない。
要するに、中国人に根深い中華思想(華夷思想)に基づけば、優秀なる漢民族が世界の中心を占め、その周辺に文化的に劣る諸民族が存在するとなる訳だが、漢民族でありながら漢民族であるのを忘れ、卑しい異民族と結託し、中華に弓引く「漢奸」(例えば金と講和した秦檜や日本と和平を結んだ汪精衛)や、「台独」(米国の庇護の下で中国に対抗)は、断じて許すことのできない存在となるのである。
習近平主席が中国の武力について「ごく少数の台独分子とその活動に向けたもので、断じて台湾同胞に向けるものではない」(1月2日の対台湾談話)と強調したのにも、そうした民族主義的な憎悪の反映に他ならない。

習近平主席の対台湾談話は、「統一」を拒否する台湾人への憎悪に満ちたものだった
そして現在、香港政府に抵抗する香港人もまた、中国人から見れば民主主義という外国の反中国思想にかぶれ、中国支配を嫌って激しく抵抗する「港独」(香港独立)分子であり、いつの日か必ず弾圧、粛清するべき民族の裏切り者ということになる。

民主主義を求める香港の人々は、中共から見れば断固粛清すべき民族の裏切り者だ
■中国人が中国を嫌うのは外国の陰謀か
そしてそうした中国人の台湾人、あるいは香港人に対する激しくも歪んだ憎悪は、この海峡フォーラム席上においても遺憾なく披露されている。それは全国政協の香港地区代表を務める凌友詩という人物による講演においてだ。この女性は香港での反中闘争への批判を展開し、次のように語っている。
「香港は155年の殖民地統治を受けたため、多くの人は殖民地意識を植え付けられている。つまり中国を敵視し、差別する白人の意識をだ。これは台湾で見られる日本皇民意識による中国への敵視、差別と同じだ。現在の港独、台独はこうした意識なのだ。一般の善良で無知な人々とは異なる」
中国人が中国政府を嫌うのは、中国政府の問題ではなく外国の陰謀ためであるとするのが中華民族主義特有の主張だが、まさにここではそれが反映されている。
さて、ここでいう「日本皇民」とは何かだが、最初に台湾人を「皇民」と呼んだのは国民党だ。
終戦直後に台湾を占領した同党は、日本統治下の皇民化運動(台湾人の近代国民化運動)で近代文明を身に付け、前近代的な中国人支配者を批判する台湾の民衆の姿に驚愕した。なぜなら中国にとり庶民とは、権力者には従順な愚民であるのが当然だ。台湾は日本統治を受ける以前は清国の支配を受けていたため、台湾人もまた中国愚民であるはずだと思い込んでいたのだろうが、豈図らんや人々は文字を読み、先進的な知識を持ち、遵法の精神まで身に付けているではないか。
かくて国民党は、台湾では中国伝統の人治主義は通用しないと悟った。無論彼らは、台湾人の文明的先進性に脅威を感じた。そこで台湾人が「中国を敵視し、差別する」のは、日本の「奴隷化教育」の悪影響だと見做し、台湾人を見下し、そして迫害、殺戮も行った。
■普遍的価値に基づく香港、台湾支援を
こうした残忍な中国の政治文化に触れるたびに台湾人は、当時から今日に至るまで、無論中国人から離れようとするわけだが、中国人を世界で最も優れた民族との信念を捨てることのできない国民党は、あるいは中共は、それを奴隷根性=皇民思想に染まった台湾人による中国への反逆と受け止め、断じて自らの暴虐を反省することはない。「死不認罪」(死んでも非を認めない)の民族だから、当然そのようになる。
香港人もまた同じことだ。英国統治下で民主主義を知り、もはや中共の愚民たり得ない彼らは、その弾圧の対象となる以外にないのである。
台湾人や香港人は「殖民地」支配を通じて中国愚民の域を脱し、民主、自由、法の支配、そして人権といった普遍的価値の尊さを知るに至った。そしてそれ故にこそ、そうした先進性に脅威を抱く中共が、力尽くで香港を、そして台湾を抑え込もうとしているのである。かくして将来において懸念されるのが、香港人の浄化であり、台湾侵略だ。
世界はこれをどう見るべきか。人類の普遍的価値というものは、人類全体が守っていかなければならないものである。そういった観点から香港問題、台湾問題を考えなくてはならない。
さて、すでに中共に従属している国民党だが、同党は来年の台湾総統選挙で政権奪還を成し遂げかねない勢いだ。そもそも同党が中共と提携を深めた動機は2000年以降、台湾人の政治勢力である民進党が政権を獲得したことにあった。つまり国共両党とも反「台独」で一致したわけである。
もしその国民党が政権を奪えば、不倶戴天の「台独」の息の根を止めんと、台湾の島を中共に献上しようとするのではないか。少なくとも中共は、何よりそうした「平和統一」に期待をかけ、国民党支援に乗り出している。

総統選挙で国民党から出馬予定の韓国瑜高雄市長。もし国民党が政権を奪取すれば、台湾は更に中国の影響下へと転落しかねない
こうしたことに対する危機感もまた、世界は共有すべきだと考えている。
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